2022年 06月 05日
オスロ・ムンク美術館横に巨大な高齢女性ヌード像
トレイシー・エミンの芸術作品「母」が、やっとその堂々たる体躯を見せた。オスロの海を望む新ムンク美術館前に披露されるのももうじきだろう。この、18トン、9メートルの大彫像「母」について、作者トレイシー・エミンは、次のように語っている。

「なんといっても、その巨大さ! 女性を記念碑にするって素晴らしいことだと思う。しかもグラマーでもなく、セクシーでもなく、強い女性。年老いた保護者としての女性。生き抜いてきた女性、母なる女性です」(TraceyEmin: –Of course I have a hidden agenda! (aftenposten.no))
予定より数年遅れてのお披露目だ。あまりの巨大さゆえ、創作現場のイギリスからの運搬が困難だったこと、コロナ禍の船舶事情などが原因だと報道されていた。ところが、アフテンポステン紙(2022.5.25)は、2019年、トレイシー・エミンが病魔に襲われていた事実を明らかにしている。下半身を癌におかされ、膀胱、子宮、尿路などすべてを取り除く手術をしたという。
絶望のなかで完成させたことを思うと、震えがとまらない。トレイシー・エミンの強靭さ!新たな命を生み出す母なる女性の強靭さ!
日本の公共空間を占める女性の銅像は、ほとんど男性芸術家の目を通して創られた若い女性のヌードだ。役所前や公的施設に陣取っては、「女性イメージ」のクリシェを、これでもかと上塗りし続ける。建設設置や予算を決めてきた自治体や国の政治家たちは、疑問を抱かないのだろうか。
トレイシー・エミン「母」のニュースは、日本に怒り続けて疲れ切っている私を、つかの間いやしてくれた。次のノルウェー訪問が楽しみだ。
【写真 運搬されてきた「母」。 Ingvild B. Myklebust, Agency of culture affairs, City of Oslo. The Mother by Tracey Emin coming home in Oslo | Culture Oslo (mynewsdesk.com)】
■新ムンク美術館と巨大な中高年女性ヌード像「母」 : FEM-NEWS (exblog.jp)

