2022年 05月 19日
報告「AV出演被害防止・救済法」に関する議員と支援団体との会合
昨年、「スウェーテンの買春処罰法」についてうかがった中里見博教授の代理で、「AV業界に有利なAV新法に反対する緊急アクション」として参加した。７団体から11人が参加。1団体5分程度の発言から記憶に残ったポイントを記す。敬称略
郡司真子（ＡＶ出演問題対策委員会）は、「ＡＶ業者の権利を守るように見える法案だ。実際に出演して被害にあっている多くの人たちを救済する法律になるだろうか疑問だ。いったん結んだ契約を取り消す権利について、無制限、無条件で取消しができるようにしてほしい。スカウトを禁止すべきだ」と訴えた。
山田不二子（ＡＶ業界に有利なＡＶ新法に反対する緊急アクション）は、太田啓子弁護士の書面に基づいて「そもそも根本的な被害防止にはＡＶ撮影における性交を禁止すべきであり、立案過程で、性交禁止についてどのように議論されたのか明らかにされるべきではないか」
三井マリ子（同上）は、「北欧ノルウェーの研究を30年してきた。北欧モデルと言われるが、北欧ではカネで性的サービスを買うことは法律で禁止されている。ＥＵ議会もその方向を決めた。法案の『性行為の強制の禁止』から『強制の』という3文字をとって『性行為の禁止』にできないのか」
大谷恭子（若草プロジェクト）は、「危険性をはらんでいる法律である。しかし、今あるＡＶ被害をすぐに救済する必要があり、やむをえないと言わざるをえない。とくに『性をめぐる個人の尊厳』という表現がはいったことは高く評価する」
川村百合（Colabo）は、「この法では救済されない人が多い。救済される人は弁護士に相談しようという力がある人のみではないか」「撮影にあたって、演技ではなく本番の性行為を認めているのは問題だ」
仁藤夢乃（Colabo）は、「団体から出た質問に答える時間は今日ないというが、書面で質問に回答してもらいたい。また国会で明らかにしてほしい」
伊藤和子（ヒューマンライツ・ナウ）は、「求めてきた改善案を100％ではないとはいえ取り入れてもらってよりよりものになった」「地獄のような被害を考えると、このような法案に改善されて、ありがたい。とくに差し止め請求権が設けられたことは画期的だ」
金尻カズナ（ぱっぷす）「削除作業に携わってきたが、削除をお願いしますとしかいえなかったが、法律で担保されることになった意義は大きい」
岡恵（ぱっぷす）「性暴力を受けながら、演技だとされてしまう。それを救済できることになったのは画期的。2年後の見直しに期待したい。男女共同参画局が、現状把握調査をするという発言があった」
司会進行をした男性国会議員が、冒頭で「この法は契約に関する法律案で、広くすべてに広げるのは別の話」と、釘をさした。また行政幹部から「表現の自由などとの関係から、現行法体制の中でギリギリのところがこれ、というふうになった」という気になる発言があった。
ほとんどの国民は、なぜ今、急遽、この法案が提出されることになったのか、条文の中身とその解釈はどうなのか、知らないだろう。今日の会は、多くの国民を巻き込んでのテレビ討論会にすべきだった。
■AV出演強要被害の実態が明らかに | 時事オピニオン | 情報・知識＆オピニオン imidas - イミダス
■NOを言おう「AV新法＝国家容認AV業界保護法」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■少女を性的に描写した動画を交通事故防止啓発に使った警察署の人権感覚: FEM-NEWS (exblog.jp)
■ヒューマン・ライツ・ナウ「日本における性犯罪に関する刑法とAV出演強要問題の間の隔たり」
■速報：渋谷駅前スピーチ＆学習会「買春問題」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■”買春”は許されない！（叫ぶ芸術 86回） : FEM-NEWS (exblog.jp)
■セックス同意法（スウェーデン）: FEM-NEWS (exblog.jp)
■買売春禁止、北欧にならうEU諸国 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■日本マンガは子どもポルノ禁止法違反: FEM-NEWS (exblog.jp)
