2022年 05月 14日
速報2「女性が当選しやすい選挙制度をめざそう!」@5/9 衆議院第ニ議員会館
パネル・トーク「女性が当選しやすい選挙制度をめざそう!」が、2022年5月9日(月) 15時~衆議院第二議員会館で行われました。オンライン参加での報告をいたします(今もYoutube https://www.youtube.com/watch?v=wXlL5W1s5OI で視聴可です)。
元衆議院議員、現新社会党委員長の岡崎ひろみさんは、中選挙制のもと無所属で2回当選しましたが、1996年、小選挙区制に変わった途端、落選しました。岡崎さんは、「政治改革法」制定時の生々しい場面を語り、「金権政治」を改革したいというのは建前で、実際は、規制緩和に進みたいために、もう一つの保守政党が必要だった、という考えを示しました。高い「供託金」(小選挙区300万円)などのため、収入が比較的少ない女性たちの被選挙権が奪われる結果となった。民主主義を育てるためにも比例制中心にしたい、と強く訴えました。
社民党党首、現参議院議員の福島瑞穂さんは、衆参両院で「選挙制度改革」の会議が行われているが細かな調整ばかりで、比例代表制に関するテーマがまったく取り上げられず、もっとこうした議論を広げてしていくべきだと発言しました。さらに福島さんは、小選挙区の弊害について、マイノリティの権利を損なうことや多様な意見を反映しにくいこと、女性が当選しにくいことなどを挙げました。
緑の党の都議会議員、漢人明子さんは「女性が当選しやすい選挙制度は単に女性が有利になるだけではなく、マイノリティの人も有利になる」と述べ、世界一高い供託金制度の弊害を紹介しました。また、比例代表制を取り入れている国々では、緑の党の議員が多いだけでなく、女性議員の比率が高いことを述べ、「比例代表制中心の選挙をめざしたい」「日本にも罰則付きクオータ制が必要である」と指摘しました。
新宿区区議員のよだかれんさんは、れいわ新選組に属してもいます。よださんは、マジョリティおよびマイノリティ両方の実経験をシェアーしながら、女性議員を増やすことの重要性を強調しました。現在、女性として務められている自分は、「社会の人々からの共感」と、「性同一性障害特例法という法律」という2つの支援があるからだ、どちらが欠けても難しいと述べました。女性議員を増やすためには実効性のあるクオータ制を法制化する必要があると強調しました。
クオータ制を80年代に日本に紹介した元都議三井マリ子さんは「1 人しか選ばれない小選挙区制は女性に不利な選挙制度である」とし、「多い死に票」「反映されない民意」「低迷する投票率」と批判しました。また、北欧に加え、多様な議会になったニュージーランドについて、アーダーン首相の誕生は小選挙区制から比例制に変わって20代だった彼女が党の名簿の上のほうに載って初当選したからであり、「比例代表制こそ、男女平等と多様性の礎である」と力をこめました。
元参議院議員大脇雅子さんからは、「小選挙区制は当選者がひとりだけとなり、女性や老人、障がい者を代表する政党や無所属の少数意見は抹殺されます」と発言がありました。変えるためには、「議会の外から変える動きを作っていくこと」が大切だと提言しました(片桐育美 代読)。
衆議院議員もとむら伸子さんは「女性が様々な犠牲を強いられ、それはすべて政治の責任である」と断言。続いて「民意をただしく反映するとともに女性議員を増やす力にもなる比例代表制中心の選挙制度に変えることを求めている」と発言しました(瀬野喜代 代読)(注)。
フロアとの質疑応答の後、最後に、政府や政党に対して女性が立候補しやすく当選しやすい選挙制度に本腰をあげるように要望していこうと「アピール」を採択しました。
パネリストたちからの迫力あふれる発言および参加者からの熱い議論と意見は、今後「比例代表制」を推進するにあたって、多くの力とヒントを与えてくれました。比例代表中心の選挙制度が実施できるように活動するNGO「楽しい比例制をめざす会」のスタッフの一員として、この場を借りて感謝します。なお、「楽しく比例制をめざす会」が主催した5月9日のイベントは、4月10日の名古屋における「女性参政権76年 増やそう!女性議員を」に引き続く第2弾であったことを付け加えます。
王 貞月(大学非常勤講師、楽しく比例制をめざす会)



【写真提供:須藤延恵、新井祥子、山崎ともよの皆さん】
【注】衆院に1割以下しかいない女性の1人がもとむら伸子衆院議員。参加を楽しみにしていたが参加できなかった。同じとき、急遽、「与党によるAV(アダルトビデオ)新法案骨子案は見直すべきだ」とする被害者支援団体のヒアリングがあったからだ。AV被害者の支援をしてきた団体は、以前からAV新法の問題点を指摘していたにもかかわらず立法に関わる議員・政府は聞き入れてこなかったようだ。AV法案骨子案の問題点のひとつは、「出演する者の自由な意思決定を確保する」と目的に書かれていること。女性たちは、日本社会で感情を搾取されてきた。感情を搾取されている女たちには自由な意思決定はできない。自由な意思決定のようであっても、実はそうではないことが多い。女性議員の少なさを話し合う重要な会が開かれたまさにその時. 女性議員の少なさゆえの象徴的かつ具体的悪夢が起きていた。
■速報:「女性が当選しやすい選挙制度をめざそう!」@5/9衆議院議員会館 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■アピール「女性が当選しやすい選挙制度をめざそう!」(PDF)
■プログラム&パネリスト略歴:2022年5月9日パネル・トーク「女性が当選しやすい選挙制度をめざそう!」
■速報:女性議員増をめざす「名古屋宣言」 女性参政権記念4/10 : FEM-NEWS (exblog.jp)
【更新 2022/5/16 】