2022年 03月 13日
小さな国と大きな国:NATO批判に応える事務総長@「アンタルヤ外交フォーラム」
3月11日、トルコのアンタルヤで「アンタルヤ外交フォーラム」が開かれた。出席したNATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグは、いわゆるNATOの「東方拡大政策」への回答を求められた。彼は、小さな国の選択に大きな国が口をはさんでいいとする価値観を一蹴した。英語から和訳してみた。
●モデレーター(ギーナ・ファクリ Ghida Fakhry)
NATOは、(ロシアのウクライナ侵略に)大きな責任を負っており、NATOは責められるべきであり、今日の事態にしたのはNATOだ、と考える人々がいます。それに、あなたはどう答えますか? NATOは挑発してきたのだ、いわゆる「門戸開放政策」を掲げて東欧の国々を誘導することは、プーチン大統領以前から長年、ロシア人は「危険水域」と考えてきたではないか、という点です。
彼の戦争と呼んでいますが、グルジアやウクライナがNATOに加盟することが大問題なのであり、それがこの大惨事を招いた、そして私たちは今日ここにいるわけです。あなたはこうした非難に与しますか?
●NATO事務総長(イェンス・ストルテンベルグ Jens Stoltenberg)
いいえ、まったく与しません。ある国が、その国の望むことをすること、それをそそのかされたからだ、とする考えは、完全に間違った世界観です。
私はロシアと国境を接する小さな国ノルウェーから来ました。1949年、私たちの国はNATOに加盟しました。そのときジョセフ・スターリンとソビエト連邦は、やはり挑発だと言いました。しかし、ロンドン、パリ、ワシントンは「ノルウェーが決めることだ」と言ってくれました。
加盟申請をしたのは私たちの国であり、私たちの国の加盟申請を受け入れたのはNATOです。
大きな国が、小さな隣人がすること、しないことを決めていいのだとする考え、小さな国が大きな国の嫌がることをしたら挑発だとする考え、そんな世界に、私は住みたいとは思いません。
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【写真:ノルウェー首相時代のイェンス・ストルテンベルグ by Mariko Mitsui】