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対話と議論のある社会に!(速報:講演会「さよなら!一強政治」by 世登和美)  

長年ノルウェーの男女平等政治を調査研究してきた三井マリ子さんが、『さよなら!一強政治』という本を出版した。


2022213日(日)、著者三井さんによる講演会が松山市であった。講演会は、昨年、日本で候補者男女均等法が成立してから初の国政選挙があり、女性議員の比率は9.7パーセントとむしろ後退した。その原因を小選挙区制という選挙制度のあり方に求め、男女平等先進国ノルウェーで実施されている比例代表制との比較の視点で考えようという主旨だ。主催は、議会に女性をおくる会(愛媛)。


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▲「子どもの教育格差なくす」「罰則付き候補者男女均等法に」「死刑廃止」・・・大臣になったら真っ先に実行したい政策を掲げて(松山市コムズ、2022/2/13)

        

わたしがノルウェーの男女平等に関心を持つようになったのは、1997 年にノルウェーの国政選挙を見に行くツアーに参加して、三井さんからノルウェーの男女平等の実際の姿を見せてもらった衝撃的な経験からだ。


なにしろ外国を訪れたのも初めて。観光地ではなく、高校、大学、高齢者施設などへ行き、女性が半数以上を占める町や村の議会を訪ね、珍しいふたり女性町長に会い、オスロ市では選挙小屋を回り、各党の候補者が有権者と直接に対話が行われる場面とか、ショッピングモールでは手の届くような間近で首相演説を聴くことができたり、国会議事堂の内部にまで案内してもらった。つまり、ノルウェーという国の深部にいきなり足を踏み入れた日本人の驚きと感動を想像していただきたい。


わたしは大学で政治学を教えていたが、高校を出たばかりの若い人に現実の政治に関心を持ってもらう工夫を重ねても、徒労感だけが募った。ノルウェーで見聞した体験を学生に伝え、ひとりでも多くの学生が日本政治の不平等に気づき、疑問を抱き、考え、行動に繋げて欲しいと願った。けれど、わたしの興奮とはほど遠く、冷めた女子学生たちからは、「日本とノルウェーは全然違う国だから」と言う声が返ってきた。


政治は男の領分とされてきた歴史の長い日本で、選挙権を獲得しただけで女性が政治に参入していくには壁が厚い。しかも、多数派に都合の良い小選挙区制の下では、民主主義すら危うい。男性優位社会を崩すような女性の躍進を期待することなど愚の骨頂。不可能だと思う。


どうすれば日本も男女平等になる日が来るのだろう。


自分事で考えてみる。政治学を専攻し、大学院にまで進んで40歳近くまで就職できなかったわたしの半生を振り返ると、ひとつ見えてくる気がする。我が家では、夕食時に、今日あったことを話す以外に、テレビや新聞のニュースから知る政治について話題にするのが当たり前だった。わたしは、どこの家庭でもそうだと思っていた。大人になってみると、そんな家庭は珍しいと知った。意見が異なる者と対話し議論をする経験無しに、民主主義について危機感を抱けるものだろうか。


大学教員の世界は政治家の世界と同様、今もって男性中心の業界である。わたしは、当たり前と思って発言してきたことで、男性の嫉妬と反感を買い、ハラスメント被害にあった末、退職した。地方では、女性で高学歴が邪魔してまともに仕事も就けないまま高齢者に仲間入りした。


物言う女は打たれる。しかし、女性が賢くならない限り、社会のルールを平等へとシフトさせることはできない。


世登 和美(愛媛県民)


高い投票率 教育の成果(愛媛新聞報道記事 2022/2/15)


by bekokuma321 | 2022-02-17 10:33 | ノルウェー