2022年 01月 16日
速報:「クオータ制とは?」(岩手ウィメンズネット)に参加して by 木村昭子
私は、 三井マリ子さんから、「クオータ制は割当制ということ、クオーター(4分の1)ではないのよ!ノルウェーに女性議員が飛躍的に増えたのは、この制度のおかげなのよ」と何度となく聞いていた。今回の学習会で、あらためてクオータ制の陰に女性運動があり、クオータ制こそ女性議員を増やすカギだとわかった。
80年代、18人中8人が女性閣僚というブルントラント内閣を新聞で読んで、驚愕し、それを確かめるべくノルウェーに飛び、その秘密が「クオータ」という制度であることを発見した三井さん。
「女性議員を増やす魔法の杖・クオータ制」は、三井さんの本や記事や講演によって90年代、日本でも広がった。実は、その魔法の杖・クオータ制は、魔法でもなんでもなく、女性たちのしぶとい闘いによって、ノルウェー社会に根づいたことを、昨日、教えてもらった。

三井さんは、クオータ制の歴史を4期に分類して説明した。
第1期は、ノルウェー初の政党の女性党首ベリット・オース(右下写真)が政党の規約にクオータ制を初めて取り入れたクォータ制黎明期である。
この時期は、ベリット・オースを主とした女性運動家たちが、地方選で、「候補者名簿(リスト)」から男性の名を消すという違法スレスレの運動を成功させた後にやってきた。女性が過半数の3議会を誕生させた「女のクーデター」は後世に語り継がれているが、そのあと、ベリット・オースは、党首として新党に初めてクオータ制を入れた。国政選挙で勝利すると、その後、他の政党も徐々にクオータ制をとりいれていった。
第2期は、男女平等法に、公的分野には一方の性が40%いなければいけないという文言が明記された時期。1978年にすでにできていた「男女平等法」だが、明快な数字はなく、女性は増えなかったため、改正されたのだという。これによって閣僚、委員会、審議会などに女性がどんどん入っていき、女性が政治権力に近づくきっかけになった。
第3期は、男性の家事・育児参加のためのクオータ制だ。「ノルウェーでは政治分野など物事を決める場に女性を増やすとともに、男性に家事育児分野に増やすことを同時進行でやっていったのです」と三井さん。その決め手は、「パパ・クオータ」。育児休業の一定期間を父親だけに割り当てる制度だ。三井さんはPapa permissionにあたるノルウェー語(Foreldrepermisjon)を「パパ・クオータ」と訳して日本に紹介した。
第4期は、経済界の平等。企業役員(取締役)に女性を少なくとも40%入れるように、会社法を改正した。
ノルウェーのクオータ制は1日にしてならず、とわかった。そして、ノルウェーの女性議員の多さも、育児休業を取得する男性の多さも、メディアを含め企業役員の女性の多さも、すべてクオータ制あってのことである。ジェンダー解消のカギはクオータ制にあり、と再認識した。
しかし、このクオータ制を活かして女性議員を増やすには選挙制度が重要であり、日本の現在の選挙制度ではほぼ不可能であることも、わかった。
貧しい移民家庭の女性、重いハンディを抱えた男性が、政党の候補者名簿(リスト)の上位に並べられて、次々に当選していく例を三井さんは写真とともに紹介した。まぶしい光景だった。ひるがえって、候補者1人を選ぶ日本のような選挙制度では、議会におけるクオータ制の達成はきわめて難しく、それが日本女性の議会進出を阻んでいる元凶だと思った。
木村 昭子(こうち男女共同参画ポレール監事)
■よだかれんブログ「三井マリ子さんの、クォータ制についてのオンライン学習会に参加しました~女性議員を増やしてジェンダー平等社会を実現しよう‼~。」https://yoda-karen.com/policy5-3/3836/
■井上輝子さんの訃報とクオータ制 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■35年前の5月9日、世界初の「女性の内閣」がノルウェーに誕生した : FEM-NEWS (exblog.jp)
■森喜朗会長の女性差別発言の深刻さ : FEM-NEWS (exblog.jp)
■女性議員増には比例代表制とクオータ制(IPU) : FEM-NEWS (exblog.jp)
■国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」報道 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■「パパ・クオータ」生みの親の訃報 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■ノルウェーの大学、クオータ制再び提案 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■男女共同参画白書とクオータ制 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■日弁連クオータ制からベリット・オースを思う : FEM-NEWS (exblog.jp)
■パパ・クオータへの道(80年代男の役割委員会」という公的審議会をつくって父親の育児参加を唱えるなどノルウェーの男性育休政策過程がまとめられている)
【注:クオータ制については以下の著書に詳述されている。『桃色の権力ーー世界の女たちは政治を変える』(三省堂)、『男を消せ!ーーノルウェーを変えた女のクーデター』(毎日新聞社)、『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)、『さよなら!一強政治ーー徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(旬報社)】


