2022年 01月 03日
FEM-NEWSから2022年あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。2022年も、FEM-NEWSは、マスメディアにとりあげられることの少ない世界の女たちの闘いや心躍るニュースをお届けします。
今年は「候補者男女均等法」が施行されて4年目。この法律は、男女半々の議会をめざして、女性候補を増やすために作られました。ところが、昨年の衆院選は無残でした。な、な、なんと女性候補はわずか18%、女性当選者は10%以下!
今や世界の議会の目標は男女半々です。かつては、クリティカル・マスと呼ぶ30%でした。クリティカル・マスとは、女性が全構成員の30%を越えて初めて女性の影響力が出始めるという理論で、ロザべス・モス・カンターが理論化したと言われています。カンターは、絵本『O(オー)の物語』(三井マリ子訳、レターボックス社)においても、いかにクリティカル・マスが重要かを絵でわかりやすく示しています。
日本で、女性は地方議会でも平均10%ほど。クリティカル・マス30%の達成すら遠い道のりです。
女性が政治に少ない最大の原因は、日本の選挙が多数代表制(1人または複数を獲得票の多い人から選ぶ)だからでしょう。
衆院選は、289議席を289選挙区から1人ずつ選ぶ小選挙区制がメインです。昨年は、得票率48%の自民党がその議席の65%を占めました。そのかげで、勝者に入れなかった人たちの票はどぶに捨てられました。その数、2673万票。も、も、もったいない! 「死に票」などと呼ばれますが、自分の票が抹殺されると知ってて投票に行きたい人がいるでしょうか。現に、投票率は55.93%。戦後3番目の低さでした。
ところが、です。比例代表制の国では、大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに、獲得票に比例して議席数が決まります。ですから、自分の1票が制度に殺されるなんてことはない。
それに、比例制の国では、候補者を決めるのは、選挙の前に開かれる政党の会議です。女性を議会に増やすには、その会議で、候補者リストの当選圏内(上のほう)に女性候補を載せさえすればいい。これは女性だけでなく、先住民族、心身にハンディを持つ人など社会的弱者すべてにあてはまります。
一方、日本では、政党党員も知らないうちに候補が決まったりします。現職議員、議員身内や議員秘書など・・・多くは男性です。「候補者男女均等法」を守ろうとする政党は、選挙区の政党会議で、現職議員の候補ワクを新人女性に譲る、それしか手はありません。
では、私たちは・・・やはり1票を投ずるしか方法はないと思います。「この私の1票を殺させてなるものか。いつかこんな制度は変えてやる」と鼻歌でも歌いながら・・・。
2022年1月2日
FEM-NEWS 主宰編集 三井マリ子
連絡先 mariko-m( )qa2.so-net.ne.jp ( )を@に変えてお願いします。
【写真:「投票日にあなたの権利を使おう」と呼びかける女性。2019年秋、比例代表制の国ノルウェー・オスロの駅ナカで見つけた大看板。緑のヘアダイ(ヘア・チョークかな)、鼻のピアスに「オッ」と目を奪われた】
■2021衆院選は選挙制度の欠陥をますます浮き彫りにした :FEM-NEWS (exblog.jp)
■アピール「これでいいのか衆院選の選挙制度」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■Global Gender Gap Report 2021 pdf
■男女平等ギャップと選挙制度 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)
■女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」 : FEM-NEWS (exblog.jp)
■UNDP「政党と女性の政治参画」(和訳PDF)
■内閣府Women in Politics(各国のクオータ制事情) (PDF)
【更新 画像に追加解説 2022/1/6】