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97年前の今日「婦人参政権獲得期成同盟」が誕生した

今から97年前の今日1213日は、記憶にとどめておくべき重要な日だ。


1924年(大正13年)1213日、それまでいくつかあった女性運動が、女性参政権獲得をめざそうという一点で団結して「婦人参政権獲得期成同盟」が結成された。


その立役者は、日本キリスト教婦人矯風会の久布白落実1882-1972)だった。


久布白落実は、矯風会に入って公娼制廃止を求めて廃娼運動にのめり込む。飛田遊郭の開設反対運動、住吉公園遊郭取り消し運動、吉原遊郭再建反対運動・・・。連戦連敗。願いはとげられなかった。どれだけ悔しかったことだろう。


その挫折から、日本の女性に参政権がない理不尽さを痛いほど感じて、「法治国家において参政権は唯一の弾丸であり、武器である」と考えた。欧米諸国に旅して、参政権運動を実際に見てもきた。とはいえ、矯風会の重責や、家庭の事情もあり(幼い息子、夫、幼い娘が次々に死亡)、組織を創設して代表となって運動を牽引することになかなか踏み切れないでいた。


しかし、機は熟した。久布白落実は、姉貴分にあたる同志ガントレット恒子と話し合って、女性参政権をとなえてきた女性たち全員に、新しい会を設立する集会を呼びかける手紙を出した。東京の3分の2を破壊しつくした関東大震災(1923)から1年しか過ぎていなかった。『廃娼ひとすじ』(久布白落実著、1973年)には、焼け跡のバラックで火鉢で暖をとりながら準備を続けた様子が描かれている。


準備に次ぐ準備を経て、1ヵ月後の19241213日、丸の内保険協会で、その歴史的集会は開かれた。


「婦人参政権獲得期成同盟会」が産声をあげたのである。久布白落実は総務理事に就任した。採択された宣言文には、「普通選挙の実施にあたり、女子を除外するは不当のことと言わざるをえず、われらはこれを要求す」と高らかに記されている。


日本女性の参政権は、敗戦後、ポツダム宣言によって与えられた。だが、先人たちの運動を決して忘れてはならない、と、12月13日、あらためて心に刻んだ。


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【写真:故高橋喜久江さんを通じて借用した『日本キリスト教婦人矯風会百年史』より接写】


by bekokuma321 | 2021-12-13 14:30 | 日本