2021年 08月 21日
速報「守口恵子:ウトヤ、LGBT、極右ーーノルウェーに暮らしてみえた事」
ゲストは、ノルウェーの首都オスロに住む守口恵子さん。タイトルは「ウトヤ、LGBT、極右 ーーノルウェーに暮らしてみえた事ーー 『さよなら!一強政治』を読んで」。
守口さんは駐日ノルウェー大使館勤務後、ノルウェー人と結婚し、オスロに移住。長年、ノルウェー語の通訳兼翻訳家として活躍してきた。
まず、ノルウェー史上最悪のテロ事件「ウトヤの惨劇」から10年経ての印象を話した。守口さんが観たテレビ番組は、さまざまな職種の人たちを登場させて、その人たちに「ウトヤ事件とは」を語らせるものだった。ウトヤを特別な事件とせず、一般の普通の人たちが自分のこととしてとらえることが大事だとするメディアの姿勢を感じたという。
ノルウェーは民主主義世界第1位の国だが、極右思想の人もいる。テロ事件の犯人は「反移民、反多文化、反イスラム」を掲げる白人男性だった。守口さんは、「極右思想を抑え込むことは難しく、いかに共存していくかが課題だ」と言った。9月の国政選挙に向けて政党は「移民政策」を掲げ、争点になっているという。
次に環境政策。CO2削減はどの政党も上げているが、とくに大胆な政策を掲げているのは緑の党。「ノルウェーの一番の財源である北海油田探索を緑の党はもう切り上げるべきだとまで主張」。また、「電気自動車」に乗り換えが増えている。それは、政府が「電気自動車なら、ガソリン代はかからず、高速道路料金は無料」というインセンティブを国民に与えたのが理由だという。
ノルウェーはLGBTが排除されずに生きられるための法律がすでにつくられている。政治家や著名人も同性婚を公言。保健大臣も「ゲイ」をオープンにしている。テレビでは、ゴールデンタイムに1週間も、LGBTや「プライドパレード」の番組を、毎晩2時間、放映していたという。
守口さんは、ノルウェーは多様性に富んでいると強調した。数多くの政党が、国会や地方議会に議員を輩出している。一方、日本は議員を出せる政党は多くなく、考え方も画一的だ。
いや、待てよ。日本に多様性がないから、政治や社会に多様性がないのはなく、過去25年間、小選挙区制選挙のもとで、国民の多様な民意が反映されてこなかったから、多様性が摘まれたのでは。
『さよなら!一強政治』に三井さんが書いているにように、ノルウェーは比例代表制、日本は小選挙区制だ。ノルウェーだけではない。北欧5カ国すべて比例代表制だ。北欧だけでなく、男女平等が進んでいる国々の殆どは比例代表制の選挙制度である(同著p65)。
「ノルウェーには議員にも特権や利権などない、腐敗もない」と守口さんは言い切った。信じられない! それを受けた三井さんは、政治ジャーナリストのリーラ・スルフスビークの言葉を紹介した(同著p213)。
「ノルウェーにはお金のために議員になる人はいないと考えて下さい。地方議員は基本的に無報酬です。……国会議員の報酬については、かつて議論はありましたが、選ばれて国民の代表になった人が、選んでくれた国民たちを超えてはいけない、というのが結論でした」
リーラに取材した時、彼女の口から出たこの言葉に、感動のあまり三井さんは「泣きそうになった」と言った。
三井さんの著書『さよなら!一強政治』に書かれているにように、ノルウェーは比例代表制、日本は小選挙区制と選挙制度が違う。今回、私は、平等と多様性の国と言われるノルウェーを、守口さんの日常生活から知ることができた。あらためて、比例代表制という選挙制度がいかに重要であるかに辿り着いた。
日本の画一的社会は変わらないのだと諦めず、ノルウェーの様な多様な社会を実現させたい。そのためにも、比例代表制を広く知ってもらいたいと強く感じた。
大塚かほる(「楽しく比例制をめざす会」事務局)
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