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速報「小選挙区制は日本の政治を壊す」(羽原清雅元朝日新聞政治部長)

羽原清雅さんのお話「9回目の小選挙区制は日本の政治を壊すを聴いた。


羽原さんは、朝日新聞政治部記者、政治部長として、「小選挙区の出生の秘密」をつぶさに見、小選挙区制の愚を新聞記事や週刊誌に発表してきたジャーナリストだ。



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小選挙区中心の選挙が生まれたのは1994年である。1996年の第1回の衆院選から25年が過ぎ、今秋9回目の衆院選となる。


羽原さんは、まず「小選挙区選挙では、政党の得票率と議席数の大きな格差」があると指摘した。2017年、自民党は、得票率が48%しかないのに、議席は75%に。それ以前の選挙も同様であり、「民意が正確に反映されない」。「大政党優位の選挙制度だ」と。「価値観の多様化時代にそぐわない」。羽原さんは静かだが、力をこめて語った。


第二に「死に票の多さ」。2017年の東京25区では、東京10区、8区は、それぞれ62.6%、60.8%もの死に票を出した。これは最大政党以外に入れた人たちが6割以上いるのに、その人たちの民意は「黙殺されている」ことだ。「きわめておかしい」。


第三に、「投票率の激減」していること。2017年の投票率は53.68%で、戦後2番目に低かった。「最低は兵庫8区の42%」で、「45%以下の選挙区が11選挙区もある」。「投票率こそ政治参加の指標」であり、この低落傾向に歯止めをかけなくてはならない。


ほかにも「政党幹部の選挙『公認』権の強まり」「政党交付金の問題」「一票の格差」「重複候補のおかしさ」「政治家の人材の小型化」「政治とカネ」など、深刻な現状をつぎつぎと・・・。


選挙区から公認1人しか出せない小選挙区制は、政党党首やその周辺の幹部に物言えぬ政治家が増えてくる。それに、現議員優先・世襲優先となり、女性など新人に不利なのは明かだーー私から付け加えたい(下図)。


羽原さんは、小選挙区制が20年以上続き、「細いビーズ玉は、ひとつずつはまっすぐであっても、いくもつながると右に大きく曲がったりする」と、取り返しのつかないゆがみが生じていることを嘆いた。


では、どうすれば? 「小選挙区制をやめさせるための超党派による市民運動、とくに女性が中心となった草の根の運動を起こして、大きなうねりとしないといけない」と、本当に真剣だった。


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残念だが、マスコミは「短視的姿勢であり、選挙制度をきちんと分析して取り上げようとしない(注)」。学者は「これだけ小選挙区のデメリットが出ているにもかかわらず、もう少し様子を見よう、だ」と批判した。市民の民意を大事にして、政党や議員などの大きな声に頼らずに、やるべきだと主張した。


では、このような小選挙区制中心の制度がなぜ成立したのか。この歴史的事実は、別途、1時間半の羽原講演で明らかにしていただいた。Youtubeに近いうちアップする予定。お楽しみに! 主催は「楽しく比例制をめざす会(GPR:Group for Proportional Representation)。



三井マリ子(楽しく比例制をめざす会


【注:短視的は羽原さんの造語だという。「記者たちは短いレンジでものを見ている」ことを指して使った言葉。「構造的な問題であること、制度自体を厳正に変えなくていけないというふうなところを紙面をさいて大きくとりあげない」と新聞界を批判した。「選挙制度は難しい。選挙区の変更だけでもややこしく、新聞がちゃんととりあげないとTVもちゃんととりあげにくい」とTV報道の現状を嘆いた】


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by bekokuma321 | 2021-07-20 12:18 | 日本