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松山市議会議員発言の「全文削除」はおかしい(瀬野喜代)

319日、愛媛県松山市議会において田渕紀子議員が行った一般質問の全文削除自ら申し出て許可された、と報道で知った。


議員にとって一般質問は命だ。その全文削除を議員自ら求めた? そんなことはあり得ないはずだ。よく読むと、3月4日に行った田渕議員の小中学校女子内科健診に関する項目の削除などを医師会が市議会に求めたことによる、結末らしい。


田渕議員は「複数の女子から内科検診時に下着を首まで引き上げられたと相談を受け、61校中3校で確認できた」と、(一般質問で)問題提起したという。


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▲議会で「全文削除」された事を受けてただちに動いた市民たち。3月27日松山市内


疑問に思った私は47日、松山市教育委員会に電話した。養護教員を名乗る女性は「医師会の健診方法に問題があったとわけではない、心音を聴くだけでなく、成長期のこどもの胸をみることで異常を発見することもありうるので必要な行為」と答えた。


私は、昨年、性暴力防止のための性教育に取り組むよう文科省と話し合った。そのとき文科省は幼児期から「水着で隠すところはあなた自身の大切なところであり、他人が触ろうとしたり、見ようとしたりしたら『イヤ!』と言っていい」と教えることになっている」と述べた。松山市の医師会は、せめて、この程度の理解を持つべきだろう。


議員をしていた荒川区の教育委員会にも聞いてみた。「プライバシーへの配慮から、衝立などを利用し、体操着を持ち上げて隙間をつくって心音を聴いている」との回答を得た。


そこで14日、松山市教育委員会に再び「胸を見ることで、どのような病気の発見につながるのか」と電話した。電話口に出たのは男性だった。彼は「そのようなことは言っていないはず。健診の目的は心音を聴くことだけだ。事前に児童生徒には指導しているし医師会には以前からプライバシーに配慮をお願いしている」。職員によって回答が異なっていた。


学校現場での盗撮はよく報道される。また医師のセクハラについては、荒川区で30年以上女子中高生にセクハラを行っていた医師が一昨年、逮捕されたように、実際に起こっている。関連付けたようにとられる表現だったとしても、医師会が怒るほど不当だとは言えないのが日本の現実である。何より議員42人もいて、全文削除に至らないよう動く議員はいなかったのか不思議だ。田渕議員の孤立感が、「全文削除」を自ら言わざるをえなくなったのだと私は推測する。これは少数派女性議員へのいじめなのである。


議事録を全文削除したことによって女生徒の不快な想いに配慮する健康診断のあり方を話しあう機会が失われる。これは、こどもたちの大人への不信を招くことにつながる。


田渕議員の一般質問の言葉に誤解を招く表現があったとしたら、田渕議員が「医師会からの抗議を招いてしまい、申し訳ありません。お詫びし、__のように訂正致します」と表明すればいいだけのことだ。


議事録削除とはいえ、議事録原本を公開請求すれば閲覧できるという。報道によると、開示を拒否した市議会が最高裁で負けたそうである。


瀬野 喜代(元荒川区議会議員)



【写真:たぶち紀子Norikoフェイスブックより。3月27日、田渕議員の発言が「全文削除」とされた事を受けてただちに開かれた緊急市民集会。「松山市議会 『議員発言全文削除事件』について考えるーー子どもの声を聞き、寄り添い、問題解決できる社会の実現のために」。市民の疑問に答える田渕議員は奥のほうに見える】



by bekokuma321 | 2021-04-17 11:54 | 日本