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「たったひとりの女性によるウィキリークス」記者の殺害事件

201710月、政治汚職事件を調査していたマルタのジャーナリストのダフネ・カルーアナ・ガリツィアは何者かに殺害された。


事件から4年近く経った。先日の報道によると、自動車に爆弾をセットして爆発させたとされた3人の男性容疑者の1人ヴィンセント・マスカットが、犯罪の罪を認め、懲役15年の刑を言い渡された。有罪と判定が下ったのは、彼が初めてだという。


FEM-NEWSで以前紹介したマルタの政治腐敗を暴露していたダフネ・カルーアナ・ガリツィアのブログは、「たったひとりの女性によるウィキリークス」と呼ばれるほどだった。


パナマ文書(パナマの法律事務所から流出した文書)をもとに、当時のマルタの首相(労働党)の妻らが、パナマに設立した会社に大金を隠していたとする疑惑を報道したことでも知られている。首相の妻は「家族が一番大切。お料理が好きです」などと言って「女らしさ」を売り物にしていた。


ダフネは、ビドニジャ村の自宅近くで車を運転しようとして殺害された。その殺害事件は、マルタの与党「労働党」を政治スキャンダルに巻き込んだ。すなわち、当時の政権のメンバーが、事件の警察の捜査を妨害しようとしたとの申し立てから大スキャンダルとなり、2019年、首相は、辞任に追い込まれた。


ダフネには夫と3人の息子が残された。家族の弁護士は、ダフネの死から4年後のマスカットの有罪判決に「これは正義につながる最初の一歩だ」と歓迎しつつも、こう語った。


「ダフネ・カルーアナ・ガリツィアの殺害に関与したことを認めた人物は、ダフネの生存権を奪っただけではない、彼女の死後に生まれた孫たちなど家族と楽しむ権利を彼女から永遠に奪ったのです」


これまで7人(すべて男性)が実際に殺害したことを認めたか共犯の罪で起訴された。 7人には、事件の首謀者と見られているものの無罪を主張し続けるエネルギー王「ヨーゲン・フェネック Yorgen Fenech」、ならびに関与をすでに告白したタクシー運転手が含まれる。


政財界の大物を直撃する疑獄事件に一歩一歩近づいていたダフネ。彼女の無念さが報われるときが近づいている。残念なことに労働党の政権は続いているものの、正義を求めるマルタ市民の激しい抵抗も続いているようだ。


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by bekokuma321 | 2021-02-27 12:41 | ヨーロッパ