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ノルウェー・コロナ事情「ドゥーグナード Dugnad」

先日、毎日新聞医療プレミアに掲載された「ノルウェー・コロナ事情」の後日談を少し。


緩やかな規制でコロナ死者を多く出したスウェーデンを隣国ノルウェーはどう見るか。専門家の意見に加えて、ノルウェー社会に昔からあるノルウェー語「ドゥーグナード Dugnad」が奏功していると書いた。共同体での連帯というような意味だ。


医療プレミア記事を読んだ2人の知人が「ドゥーグナードって素晴らしいですね」とメールをくれた。


「ドゥーグナード」については、初歩のノルウェー語をかじった時にならった。そのとき、マンションにある共同の庭の掃除を皆ですることと教わった。


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真の意味を私に教えてくれたのは、オスロ市ウーラン区の区議会議員ベアテ・ブルン(写真)。2019年の統一地方選に初立候補・初当選した。60代の建築家だ。


日本の地方議会議員は有償で、年間1000万円以上も受け取る人がいることを伝え、なぜノルウェーでは無報酬なのに候補者が多いのか聞いた。私の疑問に、「ドゥーグナード精神が残っているからでしょうね」と、彼女は答えた。


この「ドゥーグナード精神」をうまく使ったのが首相だ。コロナウイルス感染を広げないために国民に呼びかけたのだ。「ノルウェーに住むすべての人々はドゥーグナードを行いましょう。お年寄りや基礎疾患を持ってる人たちに連帯しましょう。自分自身を守るとともに他の人を守らなければなりません」と。


ベアテ・ブルン区議会議員から昨日、久しぶりにメールが来た。和訳して紹介する。


「地方議員はとても忙しいです。フラストレーションもたまります。でもいくつか勝ち取ったこともあります」


議員報酬はどうなのか。彼女は言う。


「地方議員は無報酬ですので、仕事や学業の合間に議会の仕事をします。私の住むウーラン区は、議会に出席した議員に1回につき1500 クローネ(18000)を支給します。2時間程度の会議とはいえ、膨大な書類を読んだり調べたり、家でする仕事には何時間ときには何日もかかります。ですからおカネを考えたら、地方議員にはなれません。おカネとは無縁です。情報や知識、たまにはとっても楽しいことに出会える、それが報酬でしょうか」


ノルウェーだけでなく北欧諸国の地方議員は無償だと聞いている。しかしどこも国会議員は有償だ。ノルウェーの場合、国会議員は地方議員の経験者が多い。無報酬のボランティア労働の実績が買われるのだ。


話は地方議員に移ってしまったが、ノルウェーにおける初期のコロナ対策に「連帯精神」が効いたことは間違いなかったようだ。関心のある方は「ノルウェー・コロナ事情」(毎日新聞)をどうぞ(↓)。



■多様性の尊重と規制と~ノルウェー・コロナ事情(上)

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20210120med00m100006000c

■独自路線の隣国に厳しい目~ノルウェー・コロナ事情(下)

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20210116med00m100001000c


【更新 20210208 1836】


by bekokuma321 | 2021-02-08 13:59 | ノルウェー