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43%にのぼる女性ゼロ議会・女性ひとり議会(日本の地方自治体)

【政府登用 遠い「3割」 政府、25年の数値目標】


朝日新聞の今朝の記事の見出しだ。わかりにくいが、記事の中身はきわめて重要である。わかりやすく言いかえるとーーー「日本政府は2025年までに指導的地位の3割を女性にするとの目標を示したが、現実はほど遠い」


指導的地位の例として、議会の議員を見よう。日本の1741市区町村のうち、311自治体は、男性議員しかいない「女性ゼロ議会」である。これは全体の約18%だ。さらに、女性議員が1人しかいない「女性ひとり議会」は、436自治体、約25%である(注)


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住民に最も近い地方議会。そこに女性議員がどのくらいいるか。わずか1人または誰もいない議会が全体の約43%にものぼるのである(2019年12月統計をもとに計算)。


これで、どうして、DVなど女性への暴力撤廃、保育、教育、介護、家事などにおける声が、政治に届くであろう。これらの場で主体的に動いているのは誰か? 女性である。コロナ禍の最前線で働く看護師の9割は女性だ。


それに、女性ひとりふたりしかいない議会で女性議員が声をあげても大勢の男性議員から黙殺されたり、いじめの的となる。


全国フェミニスト議員連盟は、1990年代から、「女性ゼロ議会撲滅キャンペーン」を掲げて、「女性ゼロ議会」に女性議員を増やす活動をしてきた。その草の根運動が訴えてきた深刻な事態を察したかどうかは不明だが、やっと「女性ゼロ議会」の数を政府が計算して出してきた。


問題は、その先だ。女性議員が誰もいない議会、女性議員がひとりしかない議会をなくさないで、どうやって平均30%に増やすのだろう。


ちなみに30%とは、クリティカル・マスと呼ばれる。ある集団において、Aが多数でBが少数である場合、Bが影響力を与えられるようになるには、全体の少なくとも30%に増える必要があるとする、その分岐点の数字。1990年の「国連ナイロビ将来戦略勧告」で明文化された。日本政府は国連からその遅れを指摘されつづけ、ついに2020年まで30%にという数字を掲げた(「202030」)。ところが、その時期が過ぎてもクリティカル・マスにできなかった。


その一助のために「候補者男女均等法」もできた。女性差別撤廃条約から35年、北京行動綱領から25年。日本政府よ恥を知れ、と言いたい。



【注】「女性ゼロ議会」がどのくらいあるかは【全体版】都道府県別全国女性の参画マップ(R2年5月) (gender.go.jp)。これもアクセスがよくなく、知っている人は少ない。「女性ひとり議会」がどのくらいあるかは、公開されていない。「436」は、筆者が、政府の内閣府男女共同参画局に依頼して出してもらった。「女性ひとり議会」の数を明らかにしてほしいと電話をしたら、国会議員から質問がなく統計数字は出してないとの回答。やりとりの後、さらに何度か要求して、何日か後にやっと出てきた。もとになった基礎データを要求したら「情報公開申請をせよ」と言った。これでは「見える化」どころか、「見せない化」ではないか。担当公務員に不満をぶつけるしかなかったが、問題は女性差別撤廃条約、北京行動綱領、男女共同参画推進法、候補者男女均等法などの法制度を守る気がない政府の「女性をなめきった姿勢」だ。


世界193カ国のうち日本は167位(国会議員に占める女性) : FEM-NEWS (exblog.jp)

比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)

女性議員増には比例代表制とクオータ制(IPU)

選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)

地方議会に関する研究会報告書(2015年、総務省)

地方議会に関する研究会報告書の資料(2015年、総務省)


【更新 20201127】




by bekokuma321 | 2020-11-25 17:27 | 日本