2019年 11月 11日
速報「第4回世界女性シェルター会議@台湾」
「彼は私という人間を見ないで、性器を求めていただけなのか」
ひとりの女性が声を上げた。交際相手からのレイプ。司法に訴えると、法廷という公の場ですさまじい二次被害にさらされた。ステージ上で演じたのは女優でなく、国際会議に参加したその女性自身だった。彼女の表現(アート)は、否応なく「私たち」の当事者性、サバイバーの部分を引きずり出していった。
「私たち」とは誰か? 社会学者で詩人のカムラ・バシン氏は、4年前に答えた「女性と少女、LGBT2Q+」に、今回は「家父長制に居心地悪さを感じている男性」を包摂したのだ。司会者からその点について聞かれ、「暴力の素地を生む家父長制。連帯しなければ打ち負かされてしまう」と力を込めた。
これは、11月5~8日、台湾の高雄市で開かれた「第4回世界女性シェルター会議」でもっとも印象深かったシーンだ。私は初めてこの世界女性シェルター会議に参加した。会議は、アジア地域各国によるネットワーク「アジア・女性シェルターネットワーク(ANWS)」の事務局「The Garden of Hope Foundation(GOH)」【台北市】が主催し、台湾政府、企業等の強力なバックアップにより開催された。
女性への暴力、性虐待を根絶しようという切実な思いを胸に120ヶ国14000人、日本からも約100人が参加したと聞いている。スローガンは「Impact・Solidarity(衝撃・連帯)」。
台湾の総統蔡英文氏もオープニングに駆けつけ、台湾が短期間に暴力被害者支援の法整備、支援制度を進めてきたこと、とりわけアジア初の同性婚を認める法律を施行したことを強調した。
全体会5、分科会60、ブースでの活動紹介、高雄市内外の関連機関を訪問する10コースのスタディーツアーで構成され、全体会ではあらゆる形態の女性への暴力とそれを生むジェンダーという認識の共有を、分科会では各国における当事者支援のプログラムの提案、実践、課題といったより具体的な内容について議論を深めた。
この期間中に写した膨大な写真は、どれを見てもとてもいい表情をしている。一堂に会した14000人がまるで魔法をかけられたかのように。
本夛 須美子(アジア女性センター)最下を除いて写真も筆者
▲「毎日が戦いだ」と訴えるイスラエル「アラブ女性シェルター」のスヘイレさん(同上)
▲全体会(撮影:The Garden of Hope Foundation)FACEBOOKより
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