2019年 10月 31日
河井法相(案里議員の夫)選挙違反疑惑で辞任
白い百合、赤やピンクのバラの花束をかかえて笑う女性。背後には、額にはいった自民党安倍晋三総裁の写真。公明党代表の山口那津男代表の推薦状も見える。
女性は、河井案里参議院議員。2019年7月、参院選の広島選挙区で初当選した瞬間だ。文春オンラインに大きな写真が載っている。
驚いたことに10月31日午前、この河井杏里議員の夫、河井克行法相が、辞表を提出した。7月の妻の選挙で、選挙を仕切った彼が、ウグイスさんたちに違法な金額の報酬を支払っていたらしい。
法相が違法行為疑惑で辞職とは。びっくり仰天だが、法相の辞任は、河井法相が初めてではない。
2014年、名前と顔が書かれたうちわを選挙区(台東区、荒川区、墨田区)で配って選挙違反と指摘されて辞任した松島みどり議員も法務大臣だった。うちわには、「法務大臣 衆議院議員 松島みどり」という文字、トレードマークの赤いジャケットを来た女性のイラスト、そして「働きます 日本のため 下町のため」とあった。「松島みどり」の5文字はことさら大きく目立つ。
数年前、法相だった金田勝年議員も選挙違反のにおいがプンプンしていた。罪状は、買収疑惑と、投票管理者の選挙運動禁止違反。証拠隠滅のため選挙区秋田2区の海に投げ捨てられたパソコンが、警察によって押収された、と報道されていた。
法務大臣が選挙違反とは、これは、もう絶望的だ。
選挙違反と知っていながら、なぜ、あの手この手で人の票を買おうとするのか。河井克行選挙事務所は、「裏帳簿」を作っていたというが、そのいじましい神経。なんでここまでするのか。その最大要因は、小選挙区制選挙であることだと思う。これまでも書いたが、また書く。
世界の選挙は、「多数決制」と「比例代表制」の2つに大別される。「多数決制」では、有権者は支持する候補を選ぶ。1票でも多くの票を勝ち取った人が当選する。「小選挙区制」が代表的で、複数当選の「中選挙区制、大選挙区制」もこれにはいる(三宅一郎『投票行動』)。
対する「比例代表制」では、有権者が選ぶのは候補者個人ではなく、政党だ。だから選挙になると、わが党はこういう政策を持っていて、こういう社会にしたいなどと、政党同士の政策論争が続く。
比例代表制は、政党への支持の大小を決める選挙だ。大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに、獲得票に比例して当選者の数が決まっていく。誰が当選するかは、そのあとだ。北欧では、政党が前もって決めた「候補者リスト」の上の方から当選するが、有権者が入れる個人票も加味されるので、当選者決定には時間がかかる。
強調したいのは、「小選挙区制では、候補者個人が顔や名前を有権者に売らなくてはならない」が、「比例代表制では、候補者個人が有権者に名前や顔を売る必要はない」ということだ。
候補者個人が選挙運動をする必要がないのだから、メロンやうちわで票を買収するなんて考えられない。そもそも、候補者個人のポスターも選挙事務所もチラシもいらない。
私が見た比例代表制の北欧では、移民難民家族の子ども、子育て中のシングルマザー、地球環境温暖化に怒る高校生も立候補していた。当選だってする。小選挙区制のわが国では当選はおろか、立候補すら困難な“身の丈”の人たちだ。
選挙違反は許せない。だけど、社会を構成する女性やマイノリティの代表を議会に送り出せないことは、もっと許せない。石川真澄が繰り返したように、「小選挙区制は非常に悪い制度である」!
【写真上:選挙違反記事について弁解する河井法相。NHKテレビのキャプチャー】
【写真下:うちわ事件後、ネットオークションに出されたうちわ】



