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富山の政務活動費不正から思う民主主義

富山市議会議員の不正は底なしのようだ。

昨日、1023日、富山市議会自民党の五本幸正と高見隆夫両議員は、「架空請求」と疑われた政務活動費370万円を返金した、と報道はいう。市民団体が議員らを提訴したので、どのみち嘘がばれるから、返金に至ったらしい。


事の発端は3年前にさかのぼる。


◆自民党ドンによる女性記者への暴力と政務活動費不正

2016年6月ごろ、フェイスブックの友人から、富山市議会のドンと言われる自民党中川勇議員が、北日本新聞の女性記者に暴力をふるったという報道が届いた。取材中の女性記者に、怒鳴って、押し倒して、取材メモを奪い取る・・・やくざ顔負けの乱暴狼藉ぶりだった。2か月後、中川議員は議員を辞職したと知って、セクハラ行為で辞職したのだろうと、思った。


ところが、中川議員の辞職は、政務活動費の不正が原因だった。領収書を偽造して政務活動費を懐に入れていて、その額、わかっただけで約787万円! 


◆市議14人ごっそり辞職

この大物議員の辞職を機に、次から次へと14人――自民12、民進2――が辞職した。富山市議会議員の4割近くが辞職するに至った。


富山市議会ばかりか、富山県議会でも自民1、民進2の県議の政務活動費不正受給が発覚。県議3人が辞職した。


◆民進党富山による政党交付金の不正使用

まだ続いた。今度は、民進党(当時)富山県連が、同党県議らが、政党交付金を6年間で少なくとも4525万円以上を不正に使っていた、との報道があった。不正をしたのは、県連代表坂野裕一県議と、元代表兼会計責任者の高田一郎市議の2人。庶民からしたら目を丸くするほど巨額だが、そもそも政党交付金が巨額である。民進党本部は2016年度だけで、約934千万円を国から受領していて、そこから富山県民進党に振り込まれたカネは、6年間で約1億5千万にのぼっていた。


当時、政党交付金の使い方に怒っていた私は、富山の事件に強い関心を抱いた。というのも、少し前に、政党交付金詐欺といえる被害にあって、裁判を終えたばかりだったのだ。 (続きは左下のMoreをクリック)


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         ▲豪華な富山市議会議場(富山市ホームページより)






◆衆院選に出て知った政党交付金のずさんさ

民主党(当時)支持率が最低を更新中だった2012年秋、秋田選出国会議員から懇願に次ぐ懇願をされた私は、女性議員増への捨て石になればと、衆院選への立候補を承諾した。政党公認での国政選挙は初めてだった。突然の秋田移住に突然の解散・・・。恥ずかしながら、小選挙区制選挙も政党交付金のしくみも知らずに選挙に突入した。選挙のカネは民主党秋田県連代表の松浦大悟議員事務所が全て仕切った。


後に知ったのだが、松浦事務所は、私名義(衆院候補は政党支部長)の銀行口座をいくつか作って、そこに入る政党交付金を私の選挙には使わず、自分たちが勝手に使えるよう貯め込んでいた。落選後、松浦事務所に何度手紙を出してもなしのつぶてだったので、私は真相解明を法廷にゆだねることにした。


◆そっくりだった不正の手口

富山の話に戻る。民進党富山県や、富山市議会議員の不正の手口は民主党秋田県幹部の手口とそっくり だった。「架空請求」などで領収書を偽造して、カネを懐に入れるやり口だ。民主党秋田県の幹部は、大勢のバイトにポスター張り労賃を支払ったことにして、そのカネを自分の懐に入れていた。バイトをしたとされた人たちは、領収書の存在すら知らなかった。もちろん私のポスター張りなど、していなかった。カネの原資は、政党交付金だった。


◆政務活動費も政党交付金も国民の税金

政務活動費も政党交付金も公費だ。どちらも政党の活動に対して出される。政党のほとんどが、脆弱な地方組織しかなく議員党員が主である日本で、政党に公費を出すこと自体、大きな危険をはらんでいるが、ここではこれ以上触れない。


政務活動費は、議会の会派(政党別のグループ)の調査活動などに出される公費だ。実際は、各議員が受け取って、議会報告会開催などに使う。月に、富山県議30万円、富山市議15万円で、「第二の報酬」と言う人もいる。会派(政党)ごとに支出される建前なので、領収書には支出した議員個人の名前は出ないことが多い。そのため不正を暴きにくく、富山市議の政務活動費事件を追及したチューリップテレビは「雲をつかむような作業だった」と苦労を振り返っている


政党交付金は、文字通り、政党に対して国が出す補助金だ。貧乏人から大金持ちまで、全国民から等しく1250円 を集めた税金で成立している。 基礎となる法律は、政党助成法。政党の健全な発展のために、25年前に小選挙区制導入と抱き合わせで設けられた(共産党は受け取っていない)。


◆衆院選も参院選も自民が当選

国民の税金をだましとって自らの懐をこやす---こんな卑劣さに驚き憤った私は、秋田地裁に提訴した。同じように議員の不正に憤った富山県民・富山市民は、選挙で怒りを爆発させるだろう、と期待していた。


ところが、そう甘くなかった。


2016年夏、参院選があった。富山県の自民候補は7割近くも票をかっさらった。201710月には衆院選。富山県の自民候補は6割近い票で当選した。政務活動費の不正をした市議らのほとんどは自民党員だが、“盟主”たちは痛くもかゆくもなかったのである。


◆富山県議補選、富山市議補選

さらに富山県会の補欠選挙があった。自民党は1議席増やした。そして次に、富山市議会の補欠選挙。無所属という隠れ蓑をまとった自民候補6人のうち5人が当選した。


2017年の富山市議会議員選挙(注)では、隠れ蓑をとりはらった自民党候補が22人も当選した。自民党は、富山市議会38議席の58%、過半数を超えた。政務活動費の不正取得を認めた自民議員も当選した。その陰で、社民は3人、共産は2人に留まった。


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◆辞任はしても辞職しない不正議員ら

こうなれば、もう怖いものなし! 実際、今年になって、不正取得で詐欺罪に問われた市議会議長(自民)は、議長を辞任したものの議員辞職はしていない。彼の後任で新議長となった自民党議員もまた、不正取得で、わずか2週間で議長を辞任した。彼も議員は続けている。


そして昨日、1023日、別の2議員による不正取得金の返金ニュースが届いた(上の写真)。


富山市議補選の投票率27

怒りの民意を示すには投票所に足を運ぶことだが、富山県の投票率は、きわめて低い。参院選56%、衆院選48%、県議補選42%、富山市議補選27%、富山市議選48%だ(直近のみ)。


数字を見ていると、「私の1票で変わるはずない」というあきらめの声が聞こえてくるようだ。


なかでも富山市議補選の27%という投票率は、目をおおいたくなる。7割以上の人が投票権を棄てたのだ。


こんなひどい低投票率なら、候補者は、親戚や知人など“お仲間”に、名前を書いてもらえさえすれば、当選はチョロい。


日本の選挙は、個人の人気投票のようなものだ。こんな選挙制度である限り、鼻薬をきかせた“お仲間”を1人でも多く増やしておけば安泰だ。こうして一党支配は続き、不正はなくならず、そのたびに民主主義は遠のく。


◆この手で民主主義をわしづかみにするまで

それでも絶望するのは、まだ早い。私は、ヨーロッパ諸国に多い比例代表制選挙にすべきだと考えるが、これは長期戦でいくしかない。短期的には、投票率をあげることだ。投票したい人がいないから投票に行かないのではなく、あくどい候補を自分たちの代表にしないためにも、投票に行くしかないと思う。


この手で民主主義をわしづかみにする、その日まで。



【注】富山市は統一地方選ではない。「14年前の市町村合併の時から、富山市議選の時期は統一地方選と2年ずれました」(赤星ゆかり富山市議)


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by bekokuma321 | 2019-10-24 22:58 | その他