2019年 09月 01日
「市民の代表は市民より上にあってはいけない」(ノルウェー)

「ノルウェーでは、議員は人々の代表なので、人々より上にあってはいけない、と考えられています」
NRK(日本のNHKにあたる)のジャーナリスト、リーラ・スルフスビークは、静かに、だけどはっきりと言った。9月9日の統一地方選で分刻みのスケジュールのなか、インタビューに応じてくれた。
日本の地方議会には年収約1000万円、さらに別途200万円ほどを政務活動費として受け取る議員が大勢いる。ノルウェーはどうか。A市の元市議は「年30万円程度」、B市の市議は「年46万円程度」と教えてくれた。月収かと思ってしまうが、年収である。一方、首長はフルタイムであり、年収は約940万円ほどだという。
「ノルウェーにはお金のために議員になる人はいない、と考えて下さってけっこうです。国会議員や市長はフルタイムですので収入を得ていますが、地方議員は基本的に無報酬です。国会議員でも比較的収入は低く、高収入の企業人や弁護士が国会議員になると、相当減収となります。国会議員の収入についてかつて議論はありましたが、代表たるもの、代表している人たちを越えてはいけないという結論でした」
9月9日の地方選挙に向けて、今、ノルウェー全土で選挙運動が繰り広げられている。日本にあてはめたら立候補者は163万人にのぼる。
NRKなどメディアは、毎日、密度の濃い選挙プログラムを展開する。通常のニュース番組では選挙関係を増やし、ほかに特集番組をいくつも企画している。比例代表制選挙なので、人々が選ぶのは候補者個人ではなく政党だから、政党は旗色鮮明が命。討論番組では、政党の代表たちが出演して、生活に根差したテーマへの賛否をめぐって口角泡を飛ばす。候補者が一方的に話す演説会形式の日本とはずいぶん違う。
リーラ・スルフスビークのインタビューで知った「メディアと選挙」やテレビ番組について、後日、さらに詳細を報告したい。

【写真上:政治ジャーナリストの第一人者リーラ・スルフスビーク。オスロのNRKテレビ部門前で、2019年8月】
【写真下:NRKのニュース報道部門のロゴ。写っているのはノルウェー国会】
■日本の選挙は変えなくては(「ノルウェーの楽しい選挙」を読んで)