2019年 07月 16日
ただ一人の女性議員と親子傍聴室を見る(飯塚市)
福岡県飯塚市は、今春、「女性ゼロ議会」の汚名を返上した。
今、飯塚市議会には、28議席のうち1議席に女性が座る。金子加代さんだ。
金子さんにはハンディのある息子さんがいる。「ぽれぽれの会」という障がいを考える会をはじめ、いくつかの市民運動を通じて、市政とりわけ人権や福祉政策に強い関心を持つようになった。
4月の統一地方選に立候補。キャッチフレーズは「つぶやきを市政に」。社会的に弱い立場の人たちの声を政治に届けたいという気持をこめた。トップ当選だった。
6月、議会で初質問をした。DV(ドメスティック・バイオレンス)について、さまざまな角度から市の具体策をと追及した。「ちょうど、男女共同参画週間だった」ため、唯一人の女性議員として一層力がはいった。
先日、その飯塚市でノルウェーの男女平等政策についてお話する機会があった。参加していた人が「飯塚市議会には『親子傍聴室』があります。知人が赤ちゃん連れでそこで傍聴をすることができました。でも、赤ちゃんが泣きだしてしまったんです」と言った。
なぜか、この参加者の言葉がとても気になった。翌日、飯塚市役所の見学がてら、その「親子傍聴室」を見せていただいた。
そこはあまりにも狭く圧迫感を感じる空間だった。隔離室のような印象を受けた。議場を覗けるガラス窓はあるが、他はモノトーンの壁で覆われていた。ベビーカー用のスロープもなく階段だった。階段そばの手すりの上や窓枠は角が多く、子どもによっては背の高さでもあり、歩いたり動いたりしたら、怪我しかねないつくりだった。
赤ちゃんが、泣いて教えてくれたのではないかーーー
「当事者や当事者を代弁できる人の意見をとりいれて設計してほしい」
「バリアフリーはもちろん、今やユニバーサルデザインの時代ですよ」
そして、何より金子加代さんの出番が無限にあることを、象徴しているようだった。