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EU議会選挙を控えたハンガリーの女たち

もうじき、EU議会の選挙がやってくる。EU加盟国がそれぞれの国で、いっせいにEU議会議員を選ぶ。選挙は比例代表制。

2004年にEUに加盟したハンガリーには、極右の風がふきまくっている。ブダペストのフェミニストは、「EU議会選挙の結果しだいでは、命さえあやぶまれる」という。先日、ブダペストで取材した、バックラッシュに抗う女性たちの声を紹介する。

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▲「オルバン・ヴィクトル政権はメディアを傘下におさめ、反移民や反女性をあおっています。EU選挙ではオルバン側を減らし、わが党の議員を増やさなくては」。ハンガリー民主連合副党首のアグネス・バダイ国会議員。選挙ポスターの掲示板も高額を支払って買わなくてはならず、弱小政党はポスターをはることさえ難しい。その結果、町中が与党のアジテーションでおおわれるという。「これがポスター代わりです」と名刺を差し出した(国会議事堂そばのカフェにて)。



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▲「現政権はロマ人や移民を徹底的に迫害しています。さらに世界で評判の、自由で開かれた中央ヨーロッパ大学まで潰す気です。フェミニズムをとくに嫌悪して、ジェンダー学を追放しようとしています」とアントニア・バロウズ。共産党独裁政権崩壊後、ハンガリーのフェミニスト運動をけん引した。部屋という部屋が本の山。隣室では務め帰りのレズビアン10人ばかりが集まって話し合いをしていた。「政府に頼っていては痛い目にあうだけ。ですから、この図書館をつくって女性たちに開放しています。ここは図書館であるだけでなく、女性たちのたまり場なのです」(ブダペストのフェミニスト・ライブラリーにて)。



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▲「中央ヨーロッパ大学」でNGOフェアが開催されていた。EUのウィメンズ・ロビーのコーナー。ウィメンズ・ロビーは、EUの男女平等政策や女性への暴力根絶施策をハンガリーに根付かせる運動をする。大学生の肩越しにチラリと見えるのは、ハンガリー紙幣を使ったフェミニスト・ポスター。このポスターの斬新なアイデアを知りたいかたは、「叫ぶ芸術 第70回 “男の国”に抗う女性活動家たち」を(ブダペスト市内の中央ヨーロッパ大学にて)。


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▲「中央ヨーロッパ大学」構内で行われているNGOフェア。ここは人権擁護団体のコーナー。左側はTom Lantos Institute。ヒジャブをかぶった女子学生たちが足をとめて相談していた。すでにハンガリー政府は、国境に有刺鉄線付き塀をつくって、その裏側で移民を貨物用コンテナに収容するという、とんでもない法律を可決成立させている。取材した女性たちは「トランプより先、行ってるんです」と苦笑いした(同上)。


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▲ブダペストにある国会議事堂。国会議員の3分の2を与党フェデスが握る。反EU、反妊娠中絶、反移民へ、ひたすら強硬政策をとる。



by bekokuma321 | 2019-05-14 00:57 | ヨーロッパ