2019年 04月 30日
村議会史上初の女性議員誕生(長野県川上村)

2019年統一地方選が終わった。
朝日新聞によると、後半戦も投票率は軒並み低く、「戦後最低」だった。うちわけは、市長選47.5%、市議選45.6%、町村長選65.2%、町村選59.7%。
立候補者は、市区町村あわせて13922人。そのうち女性候補は2257人と、16%にすぎなかった。選挙結果における女性の割合は、市議選当選者の18.4%、区議選では31%と報道されている。 町村議会における女性当選者の割合は、把握できなかった。
これまで現地調査した「女性ゼロ議会」のうち、埼玉県羽生市、岐阜県関市の両市には、女性グループ中心の支援によって女性議員が誕生した(注)。女性の切実な声を公的施策に反映していく大きな一歩となることが期待される。
FEM-NEWSによる長野県内の結果を報告する。
長野県で女性の割合が多かったのは、大鹿村37.5%(8人中3人)、松本市35.5%(31人中11人)、諏訪市33%(15人中5人)。3議会とも「クリティカル・マス」の30%を突破し、国連のかつての目標数値に達した。
しかし、残念ながら、南相木村、阿南町、泰阜村(やすおかむら)は、「女性ゼロ議会」を脱出できなかった。無投票当選の自治体はカウントしていないため、「女性ゼロ議会」はもっと増えるだろう。
一方、有史以来、一度も女性議員が出たことのない川上村に、2019年4月、村議会史上初の女性議員が誕生した。
その快挙をなしとげたのは、大西たま子さん(66)。長年、保育士として働いてきて、退職後も子育て支援センターに週2回ほど勤務してきた。子育て支援のプロである。
川上村は、レタスで成功した裕福な村として知られている。女性たちの起業もさかんだ。しかし、「マケ」と呼ばれる同族組織が、政界への女性進出を阻んでおり、議会は男の牙城だった。
マケは、ふだん、あまり存在感が強くなくても、選挙になると、「何世代前の親戚だから・・・と、候補者のところに呼ばれる」ことがあるという。普段、マケは主として冠婚葬祭だが、選挙では、ひとつのマケから出てなくても、2,3のマケが統合されて“拡大マケ”となり、その“拡大マケ”から出た候補者を応援するようになるのだという。
その「マケ」の推薦を経ずに当選した現職の男性議員(共産党)が後継者を探していた。大西さんは「(自分が)出なくてはいけないのではないか」と、決意した。すでに3月半ばだった。大西さんは、「27年前、村に移住してきたので、村の人たちとのつきあいは濃くなかった」。今でも、「葬儀には参加できるが、近所の祝い事があっても声がかからない」という。
大西さんは、「マケ」について選挙に出るまではさほど気にならなかった。だが、選挙中に「ああ、これが聞いていたマケの選挙なのか」と思ったことがあるという。たとえば、「あなたを応援したいけど、うちのほうから出ているので、票は入れられない」と言われたり、「うちの地区から知人が出ているので応援できなかった」と電話してきたり・・・。
選挙運動中、大西さんは、「女性も議会に必要だ」という声を耳にし、さらに、男性よりも女性の「手振りが多かった」と感じた。「私が出たことで、次に女性が出やすくなるとうれしい。保育士だった経験を生かして福祉のニーズをすいあげて行きたい」と、初当選の喜びを語った。

(写真は「2017川上村要覧」より)
【注】岐阜県関市の女性グループは「関市に女性議員を願う市民の会」。全国フェミニスト議員連盟「ゼロ撲」(女性ゼロ議会をなくそうという運動体)が関市で開いた話し合いをきっかけに生まれた。2017年夏以降、関市市民・片桐妙子さんを中心に定期的に集まってきて、今年の統一地方選への女性立候補につなげた】
【20190501 更新】

