2019年 04月 09日
1人区に挑戦した女性候補の闘い(大分県)

道府県議選が終わった。女性の当選者は237人。前回から30人増えて「過去最多」だ。
とはいえ、「候補者男女均等法」施行後初の選挙にもかかわらず、女性は全当選者2277人のわずか10.4%。人口の半分は女性なのに、9割を男性が占める。誰が見ても一方の性に偏りすぎている。
これは、政党に「候補者男女均等法破り」 が多かったことに他ならない。道府県議会選における政党の女性当選者割合は、高い順に、共産党51.5%(51人)、立憲民主党24.6%(29人)、社民党18.2%(4人)、国民民主党14.5%(12人)、日本維新の会12.5%(4人)、公明党8.4%(14人)、その他諸派7.6%(4人)、自民党3.5%(41人)。政党に属さずに闘った無所属女性は14.6%(78人)。
マスメディアが拾わない惜敗した女性たちの挑戦は、日本の選挙の深刻な問題点を見せてくれる。その中から大分県の例をひとつ。
大分県議をめざした藤原真由美は、国東市に生まれ育った。国東市職員の実績と経験から、藤原は、「ここは高齢者の町。ところが、地域おこしにもっとも大切な女性の視点、高齢者の視点が欠落しています」。強い使命感から立候補した。
選挙区は大分県国東市・姫島村。定数1人の選挙区で、自民が独占してきた。昔、田中角栄の参謀と言われた西村英一の息がかかった土地だという。西村は建設大臣を歴任した自民党の大物政治家だ。現職県議は土建業「中尾組」社長だった木付親次(自民党)。彼は大分県議会では土木建築委員会委員長だった。つい2月の国東市長選を勝ち抜いたばかりの現市長も彼についた。
「おんなに何ができる」という空気がまん延する土地で、現職男性に新人女性が対抗するのは至難のわざ。しかし、市民の手ごたえは十分で、藤原は「自分への支持は日増しに拡大していっているとわかった」。
一方、油断していた相手陣営は、藤原の善戦にあせったらしく実弾が飛んだという噂もある。土建業の孫請けをしている事業所所長は、「(カネは孫請けまで来ず)上のほうしかいい目してない。だから藤原に入れる」と告げに来たという。最終的には「おんなの藤原に負ける」という危機感から前夜の電話かけ作戦に出たらしい。結果は、予想通り、木付親次が再選された。
藤原が立候補したような1人選挙区は、実は、日本中に全体の4割もある(朝日20190330)。1人しか当選しないのだから完璧な小選挙区制だ。小選挙区制は、衆院選で指摘されてきたように、2位以下の候補に入れた票がすべて「死に票」となって、民意が反映されないという致命的欠陥を持つ。要は、自民党の独壇場と化す。
だから今回、無投票となった選挙区は多い。報道によると1人区では半数に上る(朝日20190326)。
何年か前、日本政府は「2020年まで女性を30%に」と掲げた。あまりに女性議員が少ない惨状に、国連から勧告を受けたからだ。30%とは“クリティカル・マス”といい、女性の影響力が出てくる最低限の割合だとされる。30%に上げるには、1人区でも新人女性が当選しなければならない。藤原の選挙は、これがいかに困難かを示している。
「候補者男女均等法」が国会で成立したとき、委員会で「できる限り同数、と、できる限り均等は、法的には同義であることが確認されて、今回の法案となった」 と念押しがあった。この法は、30%どころか「候補者男女同数法」なのだ。それに近づけるために、政党はいったいどういう手立てをとるつもりなのか。
根本的解決ではないが、早急に選挙区の定数を複数にするしかない、と思う。ベストなのは、ヨーロッパ諸国のように比例代表制選挙にすることだ。そうしないと、社会的に不利な立場にいる女性や身障者もまじった多様な議会は決して生まれない。


