人気ブログランキング | 話題のタグを見る

クラクフと女性「女性センター エフカ」


クラクフと女性「女性センター エフカ」_c0166264_04051567.jpg

「ザードラは、『とげ』という意味です。小さくても、とげがささると、痛くて、気になるでしょ。この雑誌はそうありたいのです」


雑誌『ザードZadra)を手に持って、クラクフ女性センターeFKa所長のスワヴォーミラ・ヴァルチェフスカは言った(注)。


「創刊は1999年。もう20年たちました。一般に売られているフェミニスト雑誌で、ヨーロッパではドイツの『エンマ』に次いで長いはず」


ポーランドのクラクフ女性センターは、雑誌『ザードラ』 編集発行に加え、女性たちの意識を高める話し合いや演劇活動、性暴力から自分を守るセルフ・ディフェンス講座など、活発に動いてきた。同時に、ポーランド議会や政治家に妊娠中絶の完全自由化を求めるロビー活動、さらにはEU委員会の男女平等政策をポーランド政府に守らせる運動…。


「ポーランドは1989年まで共産党独裁でした。女性団体はあっても上から作られたもので自主的ではなかったのです。自由主義社会となった後、政党や市民団体が誕生しました。政治に期待を抱き、私自身『緑の党』から立候補したこともあります。でも政治から少し離れました」


―なぜ?


「男性たちの“椅子とりごっこ”のような、権力争いに嫌気がさしたのです。それと、フェミニストたちに理解があった女性の国会議員が、若くて死んでしまったこともあります。彼女の死を知って、何日も泣き続けました」


―死因は?


「飛行機の墜落です。知ってますか、第2次大戦中の1940年、カチンの森でソ連によってポーランド将校、警官、公務員数万人が虐殺されました。ソ連はドイツの仕業だと言い続けたものの、1990年、やっと非を認めました。2010年、『虐殺70周年追悼式』に出席するため、ポーランド大統領や議員が飛行機で向かったのですが、その飛行機が墜落したのです。国のかじ取り役たちが皆死亡。私たちが頼りにしていた女性国会議員も死亡。当時の政府は革新とはいえなかったのですが、それ以降、さらに右よりとなりました」


―でも、あなたはロビー活動は続けているし、EUの男女平等政策にならえと、政府の女性政策を厳しく批判していますよね


「ええ。でも、自分が議員に立候補するとか女性議員を増やそうというよりも、もっと女性の内的解放を求めるほうを大切にしています。ポーランドの女性たちは、常に、今も昔も『第二の性』です。男性が主であり基本。女性のことは二の次。教育も社会も家庭も男女で求めることが違うのです。しかし、そうではない。私たちは同じ権利をもっている自由な存在でしょ」


―ポーランドの歴史は抑圧と支配の歴史です。ポーランドの男性は被抑圧者(つまり女性)の苦悩がわかるのではないか、と?


「歴史は歴史です。問題は、男性たちは、家庭や自分の気持など私的なことと仕事など公的なことをわける傾向にある。私的なことに価値を置かないようにしてきたことに、女性差別の大きな要因があると考えています」


大国に挟まれた小国の歴史、ナチスドイツによる大虐殺の歴史。「(ずっと耐えて)最後まで愚痴を言わないのは、ポーランド人」という言葉があるという。耐えに耐えた国だからこそ、ポーランド女性たちの闘いは一層困難を極めているように思った。


(話は尽きなかった。またの機会に)


クラクフと女性「女性センター エフカ」_c0166264_04144195.jpg

クラクフと女性「女性センター エフカ」_c0166264_04150429.jpg

クラクフと女性「女性センター エフカ」_c0166264_04152390.jpg

クラクフと女性「女性センター エフカ」_c0166264_14252620.jpg

クラクフと女性「女性センター エフカ」_c0166264_14330888.jpg

(注)私のポーランド訪問のそもそもは、『叫ぶ芸術ーーポスターに見る世界の女たち』 をネットで見たスワヴォ―ミラから、「なんてすばらしい! 日本語の解説はよくわかりませんが、女性たちをとりまく問題はよくわかります。女性たちの怒りは共通ですね」というメッセージが寄せられたことだ。「クラクフ女性センターで、ポスターを見ながら話し合う会を持ちたい」、「クラクフには日本文化を紹介する会館がある。そこがポーランド渡航の支援してくれるだろう」・・・。そんな対話から、人生初の東欧訪問となった。ところで、私が東欧と口にすると「わたしたちは、もう東欧とは言いません、中欧と言います」。スワヴォ―ミラからの小さな「とげ」が私にささった。


【2019.3.28 クラコフをクラクフに更新。新聞協会によればクラクフが呼び名として定着していると知ったからだ。クラコフも間違いとはいえないようだがFEM-NEWSは今後クラクフを使用します】










by bekokuma321 | 2019-03-19 04:39 | ヨーロッパ