2019年 01月 13日
議会を男女半々に:政党へ候補者均等法遵守要望
2019年1月9日、全国フェミニスト議員連盟(代表小磯妙子、まきけいこ)は、全政党に以下の要望書を提出した。
2019年統一地方選挙で女性候補を増やす具体策の策定と実行の要望
議会がどれだけ男女均等に近づいているかは、男女平等と民主主義のバロメーターといえます。日本の著しい立ち遅れは国際的に広く知られており、最近も「国会における女性議員数が世界193カ国のうち160位(注1)」「政治分野のジェンダーギャップ(男女格差)指数が世界149カ国のうち125位(注2)」という数字が、国内外の耳目を集めました。
全国フェミニスト議員連盟は、男女平等社会の実現をめざして活動する市民と議員の団体です。1992年の結成以来、女性議員増とそのためのクオータ制制定などを目的にかかげ、政府、地方自治体、政党などに、制度改善や啓発実行を求めてきました。2018年、その一助となる「政治分野における男女共同参画推進に関する法律」が施行されたことを機に、議会での男女均等をめざして私たちはさらに努力をする覚悟です。
さて、来る4月「政治分野における男女共同参画推進に関する法律」施行後初の統一地方選挙が行われます。同法は、国会や地方議会の選挙候補者ができる限り男女均等となることを目指しています。現行選挙制度の下で候補者を男女均等に近づけるには、女性の意志はもとより、政党や政治団体が、候補者を探し選定していく過程において女性を増やしていくことが必要です。しかしながらその過程において政党が同法を遵守して女性候補者増員策をとっている様子は、私たちが把握する限り(注3)ほとんど見えません。
そこで、統一地方選挙にあたって貴政党(注4)に以下を要望します。
1) 党内に女性候補者を増やすことに専念して推進する部署(たとえば「候補者男女均等法部」)をただちに創設すること。既にあるならば、活動の充実と可視化の促進をはかること。
2)「政治分野における男女共同参画推進に関する法律」の目的とそれを実行する貴政党独自の具体策を策定すること。さらに党の全体会議や地方代表を集めての党会議においてこれを書面で配布するとともに口頭による周知徹底をすること。
3)「女性ゼロ議会」をなくすために、「女性ゼロ議会」の自治体に女性候補がいない場合、そこに少なくとも一人、女性候補を擁立して「女性ゼロ議会」脱出を図ること。
4)引退議員や亡くなった議員が出た選挙区においては、その自治体の議会の半数が女性議員になるまで、その議員のあとに女性候補を擁立すること。
【注1】 2018年11月1日付けIPU(Inter Parliamentary Union)より公表
【注2】 2018年12月18日付WEF(World Economic Forum)より公表
【注3】 当連盟女性ゼロ議会撲滅キャンペーンの現地調査、ならびに各種報道による情報。一例を以下に列挙
「女性の社会進出で、社会全体が豊かになっているとは思えない」(西田昌司議員:2016.11.16朝日デジタル)
「法律をつくることで、かえって男女の対立が生じてしまうのでは」(山谷えり子議員:同上)
「国で法律を決めて勝手にやっている話で、我々が望んでいることではない」(長野県議会自民党萩原清幹事長:2018.5.25朝日新聞長野版)
「やる気があっても気持だけではむずかしい」(長野県議会国民民主党下沢順一郎幹事長:同上)
「各支部の意向があり、県連が勝手に性別だけで決めることはできない」(自民党富山県連上田英俊幹事長:2018.5.22読売新聞)
【注4】 日本では政党助成法において政党が規定されており、ここでは同法の政党要件を満たした政党を対象とした。政党要件を満たした政党には国庫から毎年320億円が助成されるが、目的は「政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与すること」である。すなわち民主主義の発展に使われるべき政党助成金を交付されている政党は、男女平等推進の責務がある。なお共産党は違憲だとして政党助成金受け取りを拒否しているが政党要件を満たした政党として要望対象とする。
【注5】 根拠例を以下に列挙
「講演録:国際シンポジウム 選挙を変えれば暮らしが変わる」(全国フェミニスト議員連盟ほか、2018.4.20)
「公平な候補者決定プロセス」(毎日新聞社『男を消せ:ノルウェーを変えた女のクーデター』)など
【写真:国会前で候補者男女均等法成立を喜ぶ「全国フェミニスト議員連盟」や「Qの会」会員のみなさん】