2018年 10月 13日
「あってはならないことが起きている」(イタリア)
誰もがおかしいと思うだろう。
イタリア初の黒人女性大臣セシル・キィェンジェCecile Kyengeは、黒人差別・女性差別にさらされてきた。 報道により、国内外の多くの人が知ることになった。ところが、今年になって、被害者の彼女自身が提訴されたのだ。
彼女にインタビューをしたDW(ドイツのメディア)が動画を流しているので、主要部を和訳する。
「人種差別の攻撃は日常茶飯事です。たとえば、ホテルを出ようとした私を侮辱するために、血で汚れた人形を置いたり、周りを取り囲んで攻撃しようとしたり・・・ある会議では、私はバナナを投げつけられました」
≪ロベルト・カルデロリ(イタリア同盟、イタリア上院議員)
「セシル・キィェンジェを見るとオランウータンを思い出してしまう」≫
≪マリオ・ボルゲッチオ(イタリア同盟、EU議会議員)
「彼女は、コンゴの部族の伝統を押しつけたいのだ」≫
「そこで、私は言いました。わかった。イタリア同盟は、政党として姿勢をとらなかったのですから、それどころか、こうした議員を公職に再選したのですから、イタリア同盟という政党は人種差別党です。」
ところが、セシル・キィェンジェがイタリア同盟を人種差別だと批判したら、彼女が名誉棄損で提訴された。
「まったく逆です。驚きましたね。『さあ来た』と言いきかせました。もし人種差別主義や外国人排斥主義に対する闘いの刃を鈍らせたら、私たちへの仕打ちはこうなんだ、と思い知らされました」
セシル・キィェンジェは、現在、イタリア選出のEU議会議員だ。彼女の持つ外交特権(訴えられない権利も含まれる)を捨てて、法廷闘争をする決意をした。
「セシル・キィェンジェのためにではなく、私は、全ての人のためにここにいるのです。自分たちを擁護できない人たちのために私はいるのです。あってはならないことが起きている、と言わねばなりません。そのために私はここにいるのです」
「ヨーロッパで女性は女性というだけで差別されています。でも、外国生まれで、しかも黒人なら、2倍、3倍、差別されるのです」
なんと力強い発言だろう。歴史の歯車をグイッと前に進めるには、彼女のような女性が政治的発言権を持たなければ、とつくづく思う。
■Labourfiguresunite in supportof Italian MEP Cécile Kyenge
■MatteoSalvinisues black MEP for defamation in racism row