国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」に参加して①

4月20日、東京で「選挙を変えれば暮らしが変わる ♪モノトーン議会からオーケストラ議会へ♫」が開かれた。

ノルウェー、ニュージーランド、韓国の代表たちは、自国の選挙制度と女性の進出などについて熱っぽく語った。下記は、宮城から参加した伊藤由子議員の寄稿。

●ノルウェー●
クオータ制は政党には規制されていない
「クオータ制は、男女平等に不可欠か」。ノルウェーのトム・クナップスクーグさん(ノルウェー王国大使館参事官)から、参加者にこんな疑問が投げかけられた。

確かに現在に至るまで、ノルウェーの法律では政党にクオータ制は強制されてはいない。1978年に男女平等法が成立して、10年後の1988年、その男女平等法が改正されてクオータ制が導入された。しかし、それは政党にではなく、公的委員会など行政レベルに対してだった。

1993年には父親の育児休暇制度が導入された。父親がとらないと無効になることから、育児休業の父親への強制となり、「パパ・クオータ」と呼ばれている。

彼の「実は、政党にクオータ制がなくても政党は男女平等が実現しているところがある」の発言には、このようなクオータ制の歴史あるのである。

最初の発言「男女平等の進展は、女性だけではなく両性の生活が充実すること(育休はどちらがとってもいいなど)」は、新鮮であった。

高い投票率は投票しやすい環境から
2017年の国政選挙の投票率は78%、しかも女性の国会議員の割合は41.4%を超えたと報告。一因として、投票しやすい環境がととのっているからとし、病院や公的機関の殆どで投票が可能であり、18~19歳の投票率も75%であると紹介した。 

選挙の場所や時間については、日本でも高校生や働く女性たちからも声があり、地方自治体でも取り組める例として、実現したいと思った。

ノルウェーでは2008年にすでに企業の女性役員は、4割という目標を達成している。また現在、連立政権の3政党の党首は女性であると言ったが、これらは男女平等をめぐる息の長い戦いの成果であると感じた。

●ニュージーランド●
小選挙区制をやめて比例代表併用制にしたNZ
ニュージーランドのテサ・バースティーグさん(駐日ニュージーランド大使館一等書記官)は、現首相は女性で、3人目の女性首相であり、最高裁の裁判長も女性、国会議員の38.3%が女性であると言った。

1996年、小選挙区制をやめて小選挙区比例代表併用制を導入した際、女性議員は21%から29%になった。比例代表制を導入したことによって、政党の候補者名簿で選挙をすることになった。女性は、政党内の候補者リストに名前が載ればよく、選挙区で闘わなくてよくなったことが女性議員増につながった、と話した。

女性を迎え入れる環境を
37歳の女性首相は、6月から6週間の育児休暇をとり、後に復帰するという。また2人の女性が国会で授乳している姿を映像で紹介した。これには、熊本市議会の女性議員はじめ、結婚・出産・育児など現在進行形の女性議員にとっては、心強い話だったのではないか。今後、日本で、選挙法を変えることを考えると同時に、進めるべき環境整備について確認できたと思う。

私は、バースティーグさんの「比例代表制の候補者リストに変わっただけでは女性議員は増えない。女性を迎えいれる環境がないと女性は立候補したいと思わない」という言葉が胸に沁みた。まさしく「議会が魅力的な場所なら」と、友人に言われたことを思い返していた。

●韓国●
比例区にクオータ制を導入した韓国
韓国のキム・デ・イルさん(大韓民国大使館参事官兼選挙官)は、2000年にクオータ制を導入して、小選挙区では30%を女性とすると決められたものの違反しても罰則はなかったため、増えなかった、と話した。しかし、現在は、比例区に50%のクオータ制が罰則付きで強制されているので、女性議員が増えた。

また政党が、女性候補者を公認すると国から政党に補助金が出るようになったと語った。儒教の国柄のせいもあり、自主性に任せては変わりにくいので、罰則は効果的と語った。

女性議員増で偏見がなくなってきた
クオータ制の効果は、女性議員の数の増加に表れているが、質的な変化もみられるようになったとの発言は、非常に興味深かった。

議会内の政治的文化が変化し、女性関連政策や国民全体の安全政策などが増えてきたことや、議長並びに委員長といった役職に女性が就任したり、女性高官の割合がアップしたこと、さらに女性政策を企画する「女性家族省」が設置されたという報告があった。何よりも、政治分野における女性に対する偏見が払しょくされたと明言した。

小選挙区比例代表並立制の比例枠に限ってだが、候補者リストは男女交互で一番は女性というクオータ制は、女性議員増をもたらし、ひいては国民の投票行動に変化をもたらしたという韓国の話は、私たちのめざすところであり、具体的なモデルだ。

3カ国の講演後、会場からは、議員が病気や他の理由で出席が叶わない場合の代理制度などについて意見交換が行われ、実りの多いシンポジウムとなった。

2018.4.28 伊藤 由子(宮城県加美町議会議員)

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 ▲3カ国のスピーチの後、会場からの質問に答える韓国のキム参事官。逐次通訳のため時間がかかり、さあこれからというところで終わった(4月20日、東京ボランティア・市民活動センター。撮影富山達夫)

国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」序
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ノルウェー
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」韓国
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ニュージーランド
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by bekokuma321 | 2018-04-30 12:45 | その他