2018年 04月 27日
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」韓国
ノルウェー、ニュージーランド、韓国の代表たちは、自国の選挙制度と女性の進出などについて熱っぽく語った。スピーチ内容を要約して、国ごとに紹介する。
■韓国「クオータ制とその実態を選挙制度から見て」
(講師:キム・デ・イル参事官兼選挙官、通訳:オ・ヨンテ在外選挙担当官)
韓国にクオータ制が導入されて18年目になる。法改正された2000年の国会議論に私(キム選挙官)は立ち会うことができた。
女性団体やフェミニズムに賛同する男性たちは、男性より多い女性の人口に応じた代表すなわち女性議員は少なすぎるということに注目した。
儒教文化の国であり、保守系政治グループ政権だったので、女性団体は、政党の自主性に任せるだけでなく、法制化が必要だと運動していった。大別して、公職選挙法と政治資金法の2つが改正された。
国政選挙の比例区において、政党の候補者名簿の50%しかも奇数に、女性を入れることが義務化された。違反した政党の名簿は受け付けられない。一方、小選挙区においては、全公認の30%を女性にせよと政党に努力義務が課された。
地方選挙にもクオータ制があり、国会議員の選挙区を1単位として、そこに女性候補1名以上を政党は公認しなければならない。違反すると無効だが、政党が公認しても女性が受けない場合は適用されない。
政治資金も改正された。女性を一定割合公認した政党には国庫から補助金が出ることになった。加えて、政党への国庫経常補助金の10%を女性政治家育成発展のために使う、とされた。
結果だが、比例枠へクオータ制を導入した2000年当時は大きな変化はなく、違反した政党の候補者名簿は無効とする罰則ができてはじめて女性の割合が上がった。地方選挙は、2002年、女性はクオータ制をしいた都道府県にあたる選挙で増えたものの、市区町村にあたる選挙では増えなかった。後、クオータ制が基礎自治体にも適用されて、15.1%に増えた。
女性のクオータ制導入による変化は多い。
①女性代表数が増え、女性関連の法制度や法改正が増加するなどの質的変化 ②女性議員の専門性に対する評価の変化 ③女性議員の超党派的とりくみ ④議会の政治文化の変化 ⑤女性高官が増えるなど政府の変化 ⑥国民の投票行動の変化
「まず制度を変えてみよう!」とクオータ制を導入して18年目、女性は、国会で17%、地方議会で25%になった。
今後は、国政選挙の小選挙区において女性30%以上を強制に変えること、比例枠の定数を増やすことが必要だ。地方選挙でも選挙区の30%を女性にすることを強制にすべきだ。
【写真は韓国大使館のキム・デ・イル参事官兼選挙官。撮影富山達夫】
(全国フェミニスト議員連盟と選挙改革フォーラムの共催)
■国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」序
■国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ノルウェー
■国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ニュージーランド
■韓国総選挙 女性15.7%に
■国際女性デー「クオータ制シンポジウム」
■国際シンポジウム「世界は進む、日本は進まず」
■初の「女性六カ国協議」開かれる