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国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ニュージーランド

4月20日、東京で「選挙を変えれば暮らしが変わる ♪モノトーン議会からオーケストラ議会へ♫」が開かれた。

ノルウェー、ニュージーランド、韓国の代表たちは、自国の選挙制度と女性の進出などについて熱っぽく語った。スピーチ内容を要約して、国ごとに紹介する。

■ニュージーランド「比例代表併用制導入で変わったニュージーランドの政治」
(講師:テサ・バースティーグ一等書記官、通訳:ロイド久美子Policy Adviser)

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ニュージーランドは、1996年、小選挙区制から「小選挙区比例代表併用制」(MMP)に変えた。併用制選挙を解説した、わかりやすいビデオがある。

ビデオ: MMP (Mixed Member Proportional)  

有権者は、「支持政党」と「選挙区の代表」の2種類の投票をする。国会の議席配分は、政党の得票割合と同じ割合になる。たとえば、労働党が50%をとったら、労働党は、国会の全120議席の50%すなわち60議席に決まる。選挙区で当選が30人だったとしても、残り30議席は、労働党の候補者リストから選ばれる。

なぜ小選挙区制から、比例代表併用制に変えたか。主な理由は、小選挙区制のもとでは、政権を握る政党の大きな政治権力に対して、国会のチェック&バランスが十分できなかった点にある。女性やマイノリティが少なかったことが主たる理由ではない。

次に女性議員について。世界で初めて女性に参政権を付与したわが国を誇りに思う。女性議員は80年代から増え続け、いま歴代最高の38%である。37歳の女性首相は、6月から育休にはいる。赤ちゃん連れの女性議員が国会で授乳したり、国会議長が女性議員の赤ちゃんを議長席で抱っこしたこともあった。

女性を迎え入れる環境が用意されると、立候補したい女性は増える。ある一定割合(クリティカル・マスcritical mass)に達すると、さらに増える。国会議場の隣に授乳室が設けられているし、議員は、他の労働者と同じように育児休業をとれる。

比例代表併用制への移行によって、女性議員の数はジャンプした。比例代表制は、政党ごとの候補者リストというシステムをとるので、女性は、選挙区で闘わなくても、政党内でリストに載ればいいからである。

政党は、クオータ制を法で求められてはいないが、女性議員増を約束している。それは、女性候補を増やさない政党には、選挙で罰が下るからだ。女性議員増の出発点は、国民の要求運動(popular movement)なのである。

要するに、女性議員増は、比例代表併用制の果たした役割も大きいが、政党の力と国民の要求によるものだ。

【写真はニュージーランド大使館のテサ・バースティーグ一等書記官。撮影富山達夫】

(全国フェミニスト議員連盟と選挙改革フォーラムの共催)

国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」序
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」ノルウェー
国際シンポ「選挙を変えれば暮らしが変わる」韓国
女性に優しい政治をかなえる比例代表制選挙(NZ)
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
by bekokuma321 | 2018-04-27 14:01