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法務大臣辞任で政権続行か(ノルウェー)

ノルウェーの法務大臣シルビィ・リストハウグ(40歳、進歩党)は、20日早朝、大臣を辞任すると記者会見した。

3月9日、法務大臣は、フェイスブックに「(難民に厳しい措置をとる法案に反対した)労働党は、国民の安全よりもテロリストの権利を重視する党だ」と投稿した。それには過激派の写真が使われていた。

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その投稿をめぐって、国民も政治家も憤った。彼女に不信任案が提出された。昨夜、与野党間を浮遊するキリスト教民主党も不信任賛成を決めたことで、不信任案は国会で過半数を超えることが確実だった。その場合、内閣総辞職かと憶測されたが、寸前で、とどまった感じだ。

リストハウグの記者会見によると、辞職したのは、「進歩党が政権のなかにいてほしいから」と。自分への批判--難民排斥感情をあおり、社会に分断を生むーーを表現の自由の侵害問題にすり替え、労働党とキリスト教民主党を強く批判した。また「先週は魔女狩りのようだった」と被害者を装いつつ、「私は国会議員として、これまでと同様、発言を続ける」と挑戦的発言を重ねた。

昨秋の選挙の際も、彼女の突飛な言動は外交問題にまでなった。当時、難民大臣だった彼女は、スウェーデンの難民が多く住む地域を突如訪問し、「近寄れない地域だ」などとスウェーデンの難民政策を非難した。選挙目当ての行動に、スウェーデンの難民大臣は、「選挙が終わってからなら会うが、利用されたくない」と面会をキャンセルした。

こうした言動をメディアは連日大きく報道。彼女の個人的人気は衰えを知らなかった。結局、こうした演出で、彼女は進歩党の看板政治家でありつづけるかもしれない、と思った。

今回、この強気のリストハウグが、問題発言後わずか10日余りで辞任に追い込まれた。それは、国会で与野党の力が拮抗しているからだろう。う・ら・や・ま・し・い!

【写真:ノルウェー「アフテンポステン紙」。左はアーナ・ソールバルグ首相、右はリストハウグ大臣】

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by bekokuma321 | 2018-03-20 23:43 | ノルウェー