2018年 03月 19日
ノルウェー内閣総辞職か?
発端は、安倍首相の妻が名誉校長である(のち辞任)小学校を、大阪府豊中市に開校する計画だっ。開校には土地がいる。愛国主義教育を進めたい日本会議系右翼政治家たちによる有形無形の圧力を忖度したらしき行政幹部らは、国有地を通常より8割以上も大バーゲンすることに…。
のらりくらりの安倍政権とは好対照なのが、ノルウェー政権だ。
明日、内閣総辞職かもしれない。報道を簡単にまとめる。
こちらは、法務大臣シルビィ・リストハウグ(40歳、進歩党)のフェイスブックへの投稿が原因だ。保守党と連立を組む進歩党は難民政策に厳しい政党だが、彼女はその急先鋒。これまでも幾度となく極端な言動で物議をかもしてきた。
彼女は、国会に「テロリストと疑われる移民は、法的手続きなしに市民権をはく奪されうる」とする法律を提案。ところが反対多数で法は成立しなかった。すると3月9日、彼女は、自分のフェイスブックに、「労働党は、国民の安全よりもテロリストの権利を重視する」と投稿した。あろうことか、バックにはテロリストの写真が使われていた。
憤りが爆発した。2011年7月22日、超極右の白人男性ブレイビクによって、労働党青年部10代69人を含む78人が銃殺された。いわゆる「ウトヤ島事件」だ。生き延びた人たちは今もトラウマに苦しんでいる。
しかも、ちょうどリストハウグが投稿した同じ3月9日、事件を描いた映画「7月22日(Utøya 22. juli)」が封切られ、ノルウェー社会は、あの地獄に向き合わざるをえなかった。
労働党党首は、リストハウグの投稿は、悪辣な攻撃であり、法務大臣として低レベルだとNRKに語った。オスロの労働党幹部は「ブレイビクと進歩党を結びつけないよう努力してきたが、これでは難しくなる」と、ブレイビクが一時、進歩党党員だった過去を、ウトヤ島事件を引いて示唆した。
すると逆に「またウトヤ島カードを切った」と非難する人もいた。これに対して、ウトヤ島事件のサバイバーは、「カードを切った? 私は一生、傷を負い、トラウマに苦しむのです。友人も失いました。カードですって。実際に起きた事件なのです」と怒りをぶちまけた。
国会では、たった一人いる赤党議員が、リストハウグの不信任案を提出。それに中央党、左派社会党、労働党、緑の党が賛成する意向を公にした。「リストハウグがもっと真摯に謝罪をし、首相が法務大臣を辞職させるなら…」と容認しそうな野党もいたが、それには進歩党党首が反対した。とどのつまり、法務大臣の不信任案が通過したら、内閣が総辞職するというのだ。
問題は、キリスト教民主党が判断を決めてないことだ。19日(月)に話し合いをして20日(火)の国会審議に備えると言う。キリスト教民主党は、保守政権の閣外にいるが、左派グループ(労働党を中心とする赤連合)の野党とは一線を画してきた。さて明日、この、わずか8人のミニ政党は、どちらにころぶのか。それ次第で、ノルウェーの政治が大きく動きそうだ。
■ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
■国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
■真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
■選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
■高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
■オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
■1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
■石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
■決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
■育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
■ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
■スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
■投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
■高校生も立候補するカネのかからない選挙 (近江真理)
■選挙制度しだいでは高校生が議員になれる(田口房雄)
■民主主義度1位ノルウェー、23位日本
■世界一民主的な国
■世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位
■女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~