2018年 03月 18日
グレーテ・ベルゲにレーチェル・グレップ賞
グレーテ・ベルゲは、グロ・ハーレム・ブルントラント政権時代の男女平等大臣。大臣就任中、妊娠出産したことや、育児休業の一定期間を父親に強制取得させる規定――パパ・クオータ――を策定したことで、よく知られている。
ノルウェーからの報道によると、3月16日、労働党青年部平等会議 (likestillingskonferansen til AUF)において、党首ヨナス・ガーレ・ストーレは、グレーテ・ベルゲの遺族に賞を手渡した。
労働党・男女平等賞は、男女平等推進において卓越した業績をあげた人または組織に捧げられる。2012年、労働党によって創設された。賞のきっかけとなったレーチェル・グレップにちなみ、レーチェル・グレップ賞とも称される。賞金は5万クローネ(約70万円)。
これを機にレーチェル・グレップとは、どういう女性かを調べた。1879年生まれ、1961年没。ジャーナリスト兼労働党の政治家と紹介されている。1902年、ベルゲン社会民主主義青年党を創設したひとりで、新聞記者をしながら労働党オスロ市議を務めた(1923-1945)。たとえノルウェーであっても、新聞記者も議員も、女性には極めて珍しい時代だった。その苦労たるや、筆舌に尽くしがたかったろう。息子の1人は、ヒトラー・ドイツへのレジスタンス運動の̚”罪”で20代で死刑。
そのような闘う女性の名を冠した賞を設けて、毎年受賞者を公募していることに、労働党の男女平等への並々ならぬ意志を感じる。労働党は現在野党だが、依然としてノルウェーの最大政党だ。
その2018年の受賞者グレーテ・ベルゲを、労働党党首ヨナス・ガーレ・ストーレは「男女平等のパイオニアであり、ノルウェー社会の土台をつくることになった」と紹介した。
グレーテ・ベルゲは、昨年11月、63歳で亡くなった。ちょうど訪日していたグレーテの友人から私は訃報を知らされて、一晩中、キャンドルをともした。彼女との思い出が次々に浮かんできた。
グレーテ・ベルゲについては、『ママは大臣パパ育児』(三井著、明石書店)p232~246、『男を消せ!--ノルウェーを変えた女のクーデター』(三井著、毎日新聞社)p48~p64)に詳しい。前者の本のタイトルロールも彼女だ。以下のFEM-NEWS記事もどうぞ。
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