ノルウェー首相、日本の女子学生たちにエール

2月14日、文京区のお茶の水女子大で、ノルウェー首相の男女平等スピーチがあった。女子大のせいか、女子高生や女子大生で会場が埋まった。

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首相の名はアーナ・ソールバルグ(Erna Solberg)。エルナ・ソルベルグと表記されることも多く、筆者もエルナ・ソルベルグとカタカナ表記してきた。

ノルウェー保守党の党首で、同国初の女性首相グロ・H・ブルントラント(労働党)に次いで、「ノルウェーの母」と呼ばれている。

「私の経験から話しましょう」と切り出した。首相が学生だった1980年代、ノルウェーの女性たちは、職場の女性差別撤廃、妊娠中絶の合法化など急進的な変革を求めて、運動がわきおこった。当時、初の女性首相が誕生したこともあり、1988年には男女平等法にクオータ制が導入された。男女同一賃金や、女性への暴力などの問題が、社会・政治問題となっていった。

ちなみにアーナ・ソールバルグは、ベルゲン生まれで、ベルゲン大卒。10代でベルゲン市議会議員となり、2期つとめたのち、1989年、初めて国会議員となった。まだ20代だった。

首相は、「ノルウェーでは、みんな夕方4時には家に帰ります」と言って、日々の暮らしに話を持っていった。労働時間の短さに加えて、父親強制(クオータ制)を含む長い育児休業、子育て中は柔軟な就業時間で働けるなど、「肝心なのは働く上でのフレキシビリティ(柔軟さ)」だと強調した。加えて、「保育園」を充実させ、みんなが仕事と家事を両立できるようにしている、と。

次に経済界。会社で、取締り役の40%以上を女性にしなければならない(クオータ制)という法律を制定した。取締役には増えたが、「ノルウェーでも会社のトップ管理職には女性がまだ少ない」とけんそんした。

政界に移った。「1913年の女性の参政権以来、民主主義の構築に女性が参画している」。背景には、政党にクオータ制は法で強制されてないものの、「各政党内の女性部が中心となって」女性議員の進出を促してきている。また、比例代表制選挙の長い歴史が、女性候補を当選しやすくしている、と告げた。

こうした男女平等にかかわる課題は、女性だけの問題ではなく「男女ともの問題である」と繰りかえした。「健康、育児、教育など子どもの問題など・・・政治にかかわることは、命にかかわることです」と強調して、「そこに女性が参画することは重要なことなのです」と決めセリフ。

ノルウェーは、ダボス会議で知られるで世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップで、世界1,2位を続ける男女平等先進国だ。しかし、首相は、「ノルウェーでも、男の多い職場、女の多い職場と、性別によって働く場がまだ分かれています。また子育て期間の女性にパートタイムが多いなど、ジェンダー・ギャップはまだ存在します。日本と同様、挑戦は今後も続くのです」と閉めた。

質問タイムには、「育児休業をとった女性の仕事を、育休をとらない男性がすることになり、とりにくくなっているが・・・」「政治分野に進む女性が少ないが・・・」「韓国から来たが、ジェンダー・ギャップ指数で日本は114位、韓国は118位。どうしたら・・・」「結婚後に夫婦が同じ姓にしなければならず・・・」と、深刻なテーマが次々にあがった。首相も身につまされたのではないか。

夫婦同姓の質問に関しては、「ノルウェーは、離婚が多く、結婚のたびに姓を変えていたら不便でしょ」と会場を笑わせて、「これは冗談です」。

会場の若い女性たちが、「私も政治家になってみようかな」と思えるような、そんな雰囲気の1時間だった。

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「それは政党の候補者リスト作りから始まった」●連載● クオータ制は平等社会への一里塚 第2回
「クオータ制発祥の国ノルウェー」国際女性 No. 27(2013)PDF

【追記:ノルウェー政府HPにアーナ・ソールバルグ(Erna Solberg)首相のお茶の水女子大でのスピーチ予定稿が掲載された。Ochanomizu University Speech/ statement | Date: 2018-02-14 By Prime Minister Erna Solberg
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by bekokuma321 | 2018-02-14 15:23 | ノルウェー