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個人的なことは政治的なこと personal is political

赤ちゃん連れで議場にはいった熊本の緒方ゆうか議員に対して、市議会が規則違反だと叱責したり処分をしようとしているらしい。前例主義に強い憤りを覚える。

1970年代、世界のあちこちで女性解放運動が起きた。女性たちは「個人的なことは政治的なことpersonal is political」と変革を訴えた。それを地で行くような緒方議員の実力行使を、私はほほえましく思った。

ところが熊本市議会は緒方議員の体をはっての訴えを切って捨てた。そのテーマは熊本市にとって最優先課題のひとつ「少子化の克服」につながるテーマなのに、だ。

日本は子育てしながら働くことが難しい社会だ。それが「少子化」を加速させている。熊本市議会が緒方議員に対してとった言動は「子育てと仕事の両立」がいかに困難かを何よりも雄弁に知らしめた。

議員も働く女性のひとりだ。子どもを預けられず困っていたなら、知恵を出し合って、ただちになんらかの融通策をとるべきだろう。特例として、その日だけ子連れを認めることもできたではないか。目の前の同僚議員が困っているのに、その議員を議場から追い出して済まそうなんて、議員の風上にも置けない。

中・長期的には、誰もが子育てしながら働けるように、たとえば議会事務局に保育室を設けるなどの対策が必要だ。議員だけでなく職員へも開かれるほうがいい。

北欧ノルウェーは、世界でもっとも女性が幸福な国と言われている。そのノルウェーも、1970年代は保育園がなくてワーキングママは途方にくれた。議会も例外ではなかった。しかし80年代に、国会のあるコミュニティの保育園に、国会で働く議員・職員のなかで、そこに入る可能性のある子どもの数をはじいて、その分を国会が買い取る方法で、解決をはかった。下の写真がその保育園だ。90年代には、保育園に入りたい子がだれでもすぐにはいれるように、ノルウェー全土に6万か所の保育園建設を急がせた。

日本の議会の女性割合は平均1割程度しかいない。つまり、前例主義とは男性中心主義である。これを機に、議会に女性議員をもっと増やそうではないか。

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 ▲「保育園に通う子どもが5%だった1973年」(『ノルウェーを変えた髭のノラーー男女平等社会はこうしてできた』明石書店、三井著)

by bekokuma321 | 2017-11-25 19:57 | その他