2017年 11月 03日
比例代表制は男女格差を縮める(世界経済フォーラム2017)
トップ5は、1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダ、5位スウェーデン。ルワンダを除きいずれも北欧諸国だ。
日本の各紙は、日本のランキングの驚くべき低さを報道。「日本114位」という見出しが躍った。
朝日新聞の見出しは、「日本の男女格差114位 政治分野 進まぬ平等」「144カ国比較 世界経済フォーラム」。とくに日本が他国に比べて格差が際立つのは政治分野だと強調されている。
朝日は、女性議員が増えない理由に「選挙制度や政党の姿勢」を真っ先にあげる。それを補強するように、小林良彰慶応大学教授にこう語らせる。
「女性議員比率の上位15カ国のうち、14カ国は選挙が比例代表制だ」
「女性が家事・育児と選挙運動を両立させながら、定数1の小選挙区で当選することは難しい」
要するに、女性議員を増やすには、日本の小選挙区中心の選挙をやめて、比例代表制に変えたらいいのだ。選挙制度を変えることが女性の政界進出に不可欠であると明快に指摘したのは初めてではないだろうか。高く評価したい。
Moreクリックで、2017年11月2日朝日新聞の同記事全文へ。
「日本の男女格差114位 政治分野 進まぬ平等」
「144カ国比較 世界経済フォーラム」
日本の男女平等度合いを分野別にみると
男女格差(ジェンダーギャップ)の大きさを国別に順位付けした「世界経済フォーラム」の報告書が2日付で公表され、日本は144カ国中114位と、前年より三つ順位を下げた。主要7カ国(G7)では今年も最下位だった。
経済、政治、教育、健康の4分野14項目で、男女平等の度合いを指数化し、順位を決める。
日本がひときわ出遅れているのが、政治分野での男女平等だ。123位で、前年の103位から後退した。
女性議員は1日現在、衆院で47人(10・1%)、参院で50人(20・7%)。先月の衆院選では、女性候補者の割合は17・7%と過去最高だったが、当選者は前回から2人増えただけ。1日に発足した新内閣は全員再任で、女性は2人だ。
男性中心の組織
女性議員が増えない背景には、選挙制度や政党の姿勢に加え、候補者を選ぶ政党の地方組織や地域社会が「男性中心」ということもある。
内閣府が2015年、全国の20~60代の男女2万3500人に行った調査では、自治会・町内会長は「男性と決まっている」、または「男性がなることが多い」と答えた人は45・6%。「女性と決まっている」「女性がなることが多い」は0・9%だった。
議会に女性が増えると、何が変わるのか。
ひとくちに「女性議員」と言っても、個人や政党によって問題意識や主張はさまざまだが、一定の特徴が見てとれるデータがある。
慶応大の小林良彰教授(政治学)がデータのそろった125カ国について調べたところ、女性議員比率が高い国ほど、民主主義の度合いやGDPに占める教育費の割合が高く、軍事費の割合が低い傾向がみられたという。女性議員比率の上位15カ国のうち、14カ国は選挙が比例代表制だといい、小林教授は「女性が家事・育児と選挙運動を両立させながら、定数1の小選挙区で当選することは難しい。女性を増やすには選挙制度の見直しも不可欠だ」と指摘する。
経済効果63兆円
経済分野は、前年の118位から114位へ、わずかながら改善した。とはいえ、5項目のうち、官民の高位職は116位、所得は100位など、依然として男女格差は大きい。
報告書では、経済分野での男女平等は日本のGDPを5500億ドル(約63兆円)増やす、という推計も紹介されている。
来日中の世界銀行CEO(最高経営責任者)クリスタリナ・ゲオルギエバ氏は1日、朝日新聞の取材に答え、「男女平等の実現は、女性だけでなく社会全体にとって有益だ」と指摘。90年代には女性の管理職がほとんどいなかった世銀でも、変革を重ね、今では5割に迫るという。
「女性が増えると視野が広がり、より良い決断を下せる。今では皆が、ジェンダー平等は経済合理性があると理解している。社会をより良くするため、もっと女性に力を与えるべきだ」
1位は9年連続でアイスランド。女性議員の割合は、集計対象だった6月1日時点で約48%に上った。アジアのトップは、10位のフィリピンだった。(ジュネーブ=松尾一郎、三島あずさ、村井七緒子)
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