2017年 10月 19日
日本の「自書式」ハンディキャッパーに不利
憲法を改正されてはたまらない。自民党の改憲草案(2012年策定)には、9条に「国防軍」の保持というゾッとする用語が明記されていた。野党の反対で棚上げにされたが、安倍政権の本心はこれだろう。
現在の憲法9条を変える必要はないと私は思う。だから改憲に反対する政党の候補とその政党に1票を投じた。
1票を投じた、と言っても、正確には、小選挙区制の投票用紙に鉛筆で候補者の名前を書いて、それを投票箱に入れた(右)。
次に、別の係員から、比例区の投票用紙を受け取って投票ブースに戻って、政党名を自分で書いて、投票箱に入れた(右下)。
これまで、こんなふうに支持する政党の候補者の名前を書いてきたが、この方法は「自書式」と呼ばれていて、先進諸国では日本だけらしい。いや世界で日本だけだという人もいる。
自書式は、手や指の不自由な人、目の不自由な人、字の書けない人などハンディを持つ人にとって、楽な方法ではない。また選ばれる側の候補者から見ると、夫婦同姓強制社会で、かつ苗字を呼ぶ慣習の日本では、苗字が変わってしまう既婚女性の多くは不利になる。
それに記号式のほうが、ミスが少ないし、票の集計だって早いに決まっている。とすると人件費も節約できるのではないか。
1980年代、ノルウェーで初めて選挙の投票用紙を見た。B5判ほどの大きさにまず驚いた。その一番上に政党名、その下に何人もの候補者名がズラリと印刷されていたことに、さらに驚いた。
投票する人は、投票ブースに入って外から手の動きが見えないようにカーテンを閉めて、その中に置かれている投票用紙から支持政党の用紙1枚を選んで封筒に入れて、投票箱に入れる(今は封筒はなくなって、政党名・候補者名が印刷された側を見えないように二つ折りにする様式に変わった)。
比例代表制ではない国、小選挙区制の母国イギリスではどうなのか。日本のように候補者の名を書かせる方式ではなく、比例代表の国ノルウェー方式に似ていた。
【写真上:2017年10月22日の衆院小選挙区制投票用紙。写真中:2017年10月22日の衆院比例区投票用紙。写真下:ノルウェーの2017年総選挙に使われた投票用紙の労働党。写真最下:小選挙区制イギリスの投票用紙】
【ノルウェー2017年選挙のルポ】
■市民に優しい選挙制度(ノルウェー)
■投票率は77.6%(ノルウェー)
■投票日の夜は政党のパーティ(ノルウェー)
■国会議員選挙結果、女性41.4%(ノルウェー)
■真夜中の国会記者会見(ノルウェー)
■選挙の夜は寝ずの番(ノルウェー)
■ミニ政党がカギを握る政権交代(ノルウェー)
■高校生が全て担うスクール・エレクション(ノルウェー)
■オスロの街並みに溶け込む選挙(ノルウェー)
■1本のメールから国会議員に(ノルウェー)
■石油の新採掘か漁業・環境保護か(ノルウェー)
■決闘の場はトロムソ図書館(ノルウェー)
■育休候補、大学生候補が国会議員になれる国(ノルウェー)
■ペン、リップクリームにコンドーム、etc(ノルウェー)
■スクール・エレクションは民主主義の学校(ノルウェー)
■投票者にも候補者にも優しい選挙(ノルウェー)
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