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女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」

女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」_c0166264_20595590.jpg2017年7月、小冊子「法律を女性と男性のために――ジェンダーに敏感な法制度ガイドブック」が刊行された。

発行はOSCE(欧州安全保障協力機構)。OSCEは欧州、中央アジア、北米の57カ国からなる安全保障組織。ハードな安全保障だけでなく、人権・基本的自由の尊重に至るまで包含しており、選挙監視、男女平等、メディアの自由についても活動する。

女性が国会議員の25%程度まで増えた国々が多く、ジェンダーに敏感な法制度をどう作るかに焦点が移ったのだろう。刊行にあたって、副代表カタジーナ・ガルダプアーザKatarzyna Gardapkhadzeは、次のように強調する。

「安全で正義に満ちた社会をめざすなら、ジェンダーを主流化する政策を優先させなければならない。そのためにジェンダーに基づいた分析をすること、国会議員の長期的な思考と日々の仕事に、ジェンダーに敏感な方策が確実に含めることが肝要である」

さて、女性議員がほとんどいないと、こうなるという見本のような議会運営が日本の先の国会で起きた。

ほぼ全野党が猛反対するなか、共謀罪が強行採決された。が、その一方、政党などに女性議員増を促す法案は成立を阻まれた。法案が提案されるはずの「内閣委員会」が開かれなかったのだ。国会の会期が終盤になって、共謀罪法案や森友・加計問題への与党対応に憤った野党が抵抗したからだ。やむをえなかったのはわかる。しかし、女性議員増法案は与党から野党まで歩み寄って作った全会一致の法案だった。タイミングを見て迅速に内閣委員会にかけられたはずだ。なんという理不尽!

衆院の女性議員は9%しかいない――世界193カ国中164番目。この男性偏重構造を変えなければこんな理不尽はまた起きる。

女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」_c0166264_2143648.jpgガイドブック「法律を女性と男性のために」を活用するには、女性議員をもっと増やさなくては話にならない。

同OSCEから6年前に刊行された「立法府の男女平等――6つの行動計画」(2011年9月)のほうが、いまの日本にはより役に立つ。

6つを和訳するとーー。

1 憲法で議員候補の男女平等を保障
2 選挙制度を比例代表制にし、できるだけ多数定数の選挙区に
3 クオータ制の合法化
4 政党の内規男女平等候補選定を規定
5 政党・メディア・市民団体が先頭にたって女性の訓練や助成金
6 議会ルールを女性が働きやすい環境に改善

日本にもっとも大事なのは、「2 選挙制度を比例代表制にし、できるだけ多数の選挙区に」であろう。本書には、比例代表制選挙がもっとも女性議員を増やせると書かれている。加盟57カ国のうち54カ国の選挙制度を比べたら、2000年も2010年も、比例代表制選挙の国の女性議員が多かった。棒グラフを作ってみた。

女性議員増「比例代表制&多数定数選挙区で」_c0166264_2151273.jpg


図表にはないが、2000年13カ国で行われていた小選挙区制が2010年には8カ国に減って、逆に、比例代表制をとる国が29か国から35カ国に増えていた。注目にあたいする。

Gender Equality in Elected Office: A Six-Step Action Plan
OSCE
選挙制度は政治を根本から変えた(ニュージーランド)
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
国会議員年収も政党交付金も世界最高額

by bekokuma321 | 2017-07-17 21:26 | ヨーロッパ