2017年 06月 14日
ウーバー社取締役のセクハラ
セクハラ発言者は実業家のディビッド・ボンダマン(David Bonderman)。ウーバー社のイベントで「女はよくしゃべる」という意味の発言をしたという。
ワシントンポスト紙によると、その偏見に満ちた発言は、不祥事続きの会社を変えるために開かれた、セクシャルハラスメント防止や職場環境改善をテーマにした会議席上だったという。
会場で、新しく取締役になった女性アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)が、女性取締役は会社にとってプラスになるという文脈で話していた。ノルウェーに端を発した「経済界の決定の場である取締役会にクオータ制を」という方針を世界の企業が取り組もうとしているが、その一環と思われる。
彼女は、「多くのデータによると、1人女性が取締役になると、また次に女性取締役を入れるようになります」と言った。それに合いの手を入れるように、ディビッド・ボンダマンは、「実際、よくしゃべりますんでね」と冗談を飛ばしたらしい。
彼は社員に対して、自分の発言を「不適切だった」として、「同僚の取締役に対して、敬意を失したコメントをしてしまったことを謝罪したい」とメールを出したという。
米各紙が大きくとりあげていて、フェイスブックでは、「50年代のことだ」「こういう男性がいるから、フェミニズムは今なお必要だ」「真実は、あらゆる場で女性よりも男性のほうが多く発言しています」と、けんけんごうごう。開いた口がふさがらないらしい。
ところが、日本で余りに露骨なセクハラ発言を耳にしている私は、彼の発言は聞き流してしまいそうだった。いま思い出すだけでも…。
「 “文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものは「ババア」”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です”って」(石原慎太郎都知事)
「産む機械っちゃあなんだけど、装置がもう数が決まっちゃったと。……別に、この産む役目の人が一人頭で頑張ってもらうしかないんですよね」(柳沢伯夫大臣)
「日本女性は家庭で働くのが喜び。日本文化だ」(中山義活政務官)
知事に、大臣に、政務官。彼らの発言に批判はあがったが、彼らが公に謝罪した、という記憶はない。
ちなみに、ウ―バ―は多国籍企業。アジアにも進出している。国家戦略特区諮問会議で、安倍首相は「過疎地などで観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する」と述べて、タクシー業者ではない一般人が自分の車で「有料相乗り」できるようにと、ウ―バ―方式の規制緩和を示唆した(2015年)。
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