2017年 05月 02日
祝!表現の自由に勝利の女神ほほえむ(海老名市)
発端は、2016年2月、海老名駅前の「自由通路」に市民10人が集まって、「アベ政治は許さない」などのプラカードを持ったマネキンフラッシュモブ。マネキンフラッシュモブとは、マネキンのように、あるポーズをとって数分間じっと動かない状態にいるフラッシュモブ(公共の場で突然行うパフォーマンス)だ。インターネットの呼びかけに応えて集まったりする。
そのパフォーマンスに対して、海老名市は、参加者のひとり海老名市議の吉田美菜子(敬称略、以下同じ)を処分。「今後このようなことをしたなら、海老名市の条例に従って5万円以下の罰金を払え」という命令を出した。
この条例は「自由通路条例」だというから、笑っちゃう。しかも、「道路交通法では交通を著しく妨げない限り規制の対象外です。それなのに、海老名市の条例は、デモ、集会、座り込みなどを一切禁止しています」(海老名自由通路を考える会 大治朋子)。
海老名市の命令を受けた吉田美菜子と、フラッシュモブの仕掛け人である市民団体「マネキンフラッシュモブかながわ」の朝倉優子らは、市の命令に疑問を抱いた。そして10人は、市を相手どって裁判に訴えた。「処分は不当だ」「おかしいのは表現の自由を脅かす市の命令のほうだ」と。
3月8日の地裁判決に海老名市は控訴しなかった。よって、海老名駅前自由通路訴訟は、市民側の勝利で確定した。
日本には、女性議員の1人しかいない「紅一点議会」が多い。その「紅一点議会」で孤軍奮闘する女性議員への想像を絶するハラスメントを私はよく耳にする。
では今回、市長や市議会の標的となった吉田のいる海老名市はどうか。女性議員は6人、22議席中27%にあたり、少ないわけではない。
とはいえ吉田は、2015年11月の市議選で当選したばかりの新人だ。2期目の西田ひろみと初当選した田中裕子、相原志穂で「いちごの会」という女性だけ4人の会派に属している。女性であり、新人であり、与党でもない。やはり”議会むら”の少数派だ。そこに「議会むらの掟やぶりをしたらただじゃすまないぞ」的な脅しのようなものを感じる。
この“脅し”に屈しなかったばかりか、裁判で「市の命令を撤回」させた吉田や、朝倉優子はじめ市民たち。マネキンフラッシュモブに劣らず、ホント、カッコイイ!
【写真上2枚は「海老名自由通路ニュース第3号」。下はマネキンフラッシュモブの様子。Mannequin Flash Mob Kanagawaのフェイスブックより】
■「表現の自由」が奪われる!? 海老名市・新人議員に路上パフォーマンス「禁止命令」
■表現の自由と男女平等
■増やそうよ 女性議員
■2016年3月11日海老名市経済建設常任委員会議録(「海老名自由通路条例」についての短い質疑が最後のほうに記載されている。濱田望まちづくり部長が「明らかに条例違反行為」と発言。それに対して吉田議員が抵抗を示す質問をしている)