人気ブログランキング | 話題のタグを見る

来年こそ「政界への女性推進法」を

「うちの市は20人の議員のうち7人が女性議員です。女性議員が増えて確実に議会が変わりました。眠っている男性議員の多かった“お休み議会”が、目を覚ましたのです。それだけではありません、執行部も変わりました。女性が議会に増えることはいいことだなあと思っています」 

こんな発言で、女性議員増運動の必要性を明快に述べたのは、埼玉県吉川市の稲垣茂行議員だ。会場に拍手と笑顔があふれた。

「1日も早く『推進法』を成立させよう」という集会でのこと。12月19日、臨時国会を終えた参議院議員会館で開かれた。主催したクオータ制を推進する会(Qの会)赤松良子代表(写真下。右)は、ここまでの活動を次のようにふりかえった。

来年こそ「政界への女性推進法」を_c0166264_17543835.jpg


「クオータ制をめざしてがんばってきたが、クオータ制にはならなかった。『政治分野における男女共同参画法』(推進法)は理念法です。それでも、女性参政権行使70周年の今年の成立を願っていた。そうはならず、残念だった。とはいえ、自民、公明、日本維新の会の与党案が衆院に提出された。野党案はすでに合意されているので、来春の通常国会では、スムーズに進んで行くのではないか」

石毛えい子元衆議院議員、川橋幸子元参議院議員、小林五十鈴日本婦人有権者同盟共同代表の進行で、国会議員のあいさつや、「推進法を求める意見書」を提出した地方議会の報告、パネル報告「これまで、これから」があった。

与党にさえ反対が目立ったカジノ法案は通って、推進法案は審議すらされなかったという192回国会の報告を聞きながら、「これぞマッチョ政治のなれの果てだな」と思った。

パネル報告者は、三浦まり(上智大学教授)、大山礼子(駒澤大学教授)、松下秀雄(朝日新聞編集委員)。発言をまとめる。

「各新聞社が熱心に書いてくれた。とくに女性記者ががんばってくれた。それが議員へのプレッシャーになった。とはいえ、この推進法のなんたるかは多くの人に知られていない。来年の課題は知らない人にもこの法を知らせること」(三浦)。

「夫婦別姓の法案のときのように、この法案もつぶされるのかと危惧したが、なんとか生き延びた。イギリスの参政権運動の映画が封切られるが、当時の参政権運動家たちのように、もっと過激に運動していく必要性を感じる」(大山)。

「ぼくもその1人である多数派の本土生まれのおじさんは、ケア重視を求める女性のニーズに気づかない。しかし、ルワンダでは、内戦後にケアのニーズが高まり、それとともに政治が変わり、今や女性国会議員率、世界一となった」(松下)。

今年、ジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会で委員とNGOのプライベートミーテイングに参加した柚木康子(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク世話人、写真下、右)がフロア発言をした。国連がいかに日本政府にいらだっているかを報告した。

来年こそ「政界への女性推進法」を_c0166264_17585083.jpg


「国連の女子差別撤廃委員会は、何度も何度も、日本政府に対して、クオータ制をはじめ女性差別撤廃に向けての方策をとるよう、勧告をしてきた。委員会としてできることはすべてやってきたつもりだが、前に進んでいない、いったい、あと何を言ったら、日本政府が実行に向けて動いてくれるのか、と(委員は)言っていました。いらだっているようでした」

世界第3位の経済大国が、女性国会議員率では、193カ国のうち、ボツアナと同じ157番目という世界最低レベル。国連委員でなくても、これに、いらだちを覚えない人はいないだろう。

(以上、敬称略)

【衆議院】政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案
女性差別撤廃委員会 日本政府報告書審査の総括所見(英語)
「祝!女性参政権行使70周年」記念はがき
ハルらんらん♪
比例区、またまた削減
「身を切る改革」どころか「民意を切る改革」
小選挙区制は女性の声を捨て去る
クオータ制を日本にも
赤松良子賞と女性差別撤廃条約
11月25日赤松良子賞記念シンポ
男女共同参画白書とクオータ制
日本の政党にクオータを実行する気は見えない
クオータ制が後押し ノルウェー政界の男女平等(新潟日報)
連載「クオータ制」5 クオータ制が生んだ名物教授
連載「クオータ制」4 欧州連合EU議会は35%が女性
連載「クオータ制」3 インドの目標は33%
連載「クオータ制」2 それは政党の候補者リスト作りから始まった
連載「クオータ制」1 あの国でも、この国でもクオータ制
by bekokuma321 | 2016-12-21 18:55 | その他