2016年 08月 07日
夏のマダン(마당)
「ノルウェーで、移民の娘が当選したことがわかった。その人たちはノルウェーの国籍をとってるのでは」
「日本では、最高裁が地方参政権を否定してきた。どうしたらいいか」
「ノルウェーでは、本当に外国人が地方参政権を持っているのか」
「私たちは、むしろ市民権をはく奪されている。それなのに“特権”があるなどと誹謗中傷される。都知事選のときはひどかった。差別や憎悪をあおるのはヘイトスピーチ法違反ではないかと訴えても、警察は何もしない。“選挙妨害となる”と言うのだ。選挙を楯にヘイトスピーチが野放しだ」
日本に定住する韓国の人たちは、こんな声をあげた。8月6日、在日本大韓民国民団埼玉本部主催「講和:移民が大臣になる北欧の多文化共生社会」でのこと。
国際人権規約は、はっきりと「すべての市民」は地方選挙権を持つとうたっている。日本の最高裁は、地方参政権を認めるべきだ、とまでは言わなかった。しかし、判決にはこうある。
「日本国憲法は、居住する地方公共団体と、緊密な関係を持つ定住外国人に対し地方参政権を付与することを禁止してはいない」。
日本で、定住外国人たちは、地方参政権を求めて何十年も前から運動してきた。しかし、いまだに日本は、外国人の地方参政権を認めていない。それどころか、このところ、排外思想が日本列島を覆っていて、当たり前のことを当たり前に言うことすらできなくなった。
私が長い間調査取材をしてきた北欧諸国では、外国人でも3年間住んでいたら、その地方の参政権を持つ。たとえば、私がオスロに引っ越して3年たったら、私はオスロ市議会(東京都庁にあたる)議員に立候補できるのだ。
へき地と言っていいノルウェーの小さな町でも、小中学校には、ボスニアやアフガニスタンからの移民(難民)の子どもがいた。スーパーには、スカーフ(ヒジャブ)やターバンを身につけた人たちを見かけた。どの地方にも移民や難民の受け入れ枠があり、それに対応しているのだった。
埼玉民団では、講和に続いて、韓国の歌や踊りが披露され、「マダン」も佳境に。
チマチョゴリ(치마저고리)を身につけた女性たちが表れた。チマは、スカートのことで、チョゴリは上衣。オッコルンという美しい紐(ひも)で、胸のあたりを結んでいる。よく見ると色もデザインもさまざまだ。
楽器は、日本の琴に似たカヤグム(가야금)。サイズは琴より小さめ。琴よりも深い音のようだ。マダンは마당。庭、広場という意味だという。
■本の街のチェッコリ
■日弁連「永住外国人の地方参政権付与に関する意見書」
■韓国総選挙 女性15.7%に