2016年 06月 07日
舛添知事の政党交付金乱費はなぜ適法なのか

「違法性はない」のなら、その法律そのものが悪いにきまっている。ザル法は、ザルの穴をふさぐしかない。
調査した弁護士は、「宿泊費、飲食費、美術品などの一部が家族や趣味のためとみられてもやむを得ない不適切な支出だった」という。
趣味の美術品、家族との豪華ホテル宿泊にグルメ外食……自分や家族のための浪費を、政治活動だと「収支報告書」に記載していた。これが犯罪にならないなら、法律が悪いのだ。
舛添都知事の政治資金は、ほとんどが政党交付金だった。政党交付金は、日本国民ひとり250円の税金が原資だ。どうにも許せないのは、年収100万円の障碍を持つ人たち、年収200万円のシングルマザー、選挙権を持たない在日外国人・・・・みな、舛添に拠出しているのである。
年総額320億円。世界一の高額、もう、クラクラする。
その政党交付金は、政党ごとに山分けされて、総務省から各政党に送金される(共産党を除く)。送金されたカネは、その政党から政党の地方支部に流れる。
舛添都知事は、自民党を離党して新党改革の代表になった。彼は、自民党時代の「自民党東京都参議院比例区第28支部」、新党改革時代の「新党改革比例区第4支部」という2つの政党支部の代表である。ここに、政党交付金が計1億4880万円も送金された。これは支部の全収入の9割以上を占める。つまり彼は、公金を私的に乱費したのである(2009年〜2014年)。
政党交付金の根拠は政党助成法。「政党の健全な活動を促すため」につくられ、「政治活動の自由を妨げてはいけないから、何に使ってもいい」とされている。さらに「残金は国庫に返納」と明記されているのに、残金を貯めこめるように逃げ道がつくられている。「基金」に移せばいい。今となっては失笑しかない。
選挙制度を小選挙区制(批判をかわすために比例枠もつけた)に移行させるとき、抱き合わせで成立させた。20年経て、目を覆いたくなるほど醜い政治家を次々に生み出した。しかも、世界一高額のカネをかけて、である。
舛添都知事だけではない。選挙や政党交付金に長けている人たちの手にかかると、公金であるカネが、政治家個人が勝手に使えるカネに化けたり、「基金」という名で蓄財したりできる(下図)。そんなこと、国民には想像できない。私もまったく知らなかったが、2012年衆院選の苦い経験から学んだ。
北欧では、完全比例代表選挙だから、政治家個人の活動に政党交付金が回ることはありえない。
またフランスは、政党候補者に女性が少ないと、政党交付金が減額されるしくみをつくった。
舛添都知事流の事件は、これからも、かならず起きる。
政党助成法を改正するか、廃棄するしかない、と思う。

【写真上:2015年11月の集会「変ね!政党交付金」チラシより】
【写真下:松浦大悟代表の収支報告書より】
■さみどりの会(*)
■さみどりの会_連載「衆院秋田3区の政党交付金」
■秋田政党交付金裁判、和解
■許されない政党交付金の貯めこみ (佐藤美登里)
■普通のおばちゃんが考える「政党交付金、基金、国庫返還」(佐々木厚子)
■基金に移されていた政党交付金の国庫返還(大倉由紀子)
■ためこんで翌年一気に使う「政党交付金」(大倉由紀子)
■なぜ手のひらを返して追い出したのか(佐藤毅)
■普通のおばちゃんが考える「なぜ秋田市に集中消費?」(佐々木厚子)
■政党交付金のうまみを熟知していて追い出した(岡橋ときこ)

(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判情報が掲載されている。なお、同裁判は2015年11月和解で終わった。