2016年 06月 02日
女性の住みやすい街から選挙制度を考える
このような住みよい町は、ドイツなどには出来て、何故、日本には出来ないのか、を自問しました。すると「日本人は民主主義の成熟度が低いからやむを得ない」という決まりきった答えが浮かんできます。
しかしそれは、重要な点を見逃しています。もっとも重要な違いは、北欧やドイツと日本では、選挙方法が余りにも違うことです。まとめると、
① ドイツや北欧諸国は、国会、地方議会とも比例代表選挙
② 地方議員のほとんどがボランティア
③ 比例代表選挙で市議を選出した結果で、首長は連立を組んだ与党陣営から選ばれる
④ 予算など行政の提案権は首長ではなく議員から選ばれた参事会(首長も含む)にある
たとえばドイツ・ハンブルグの市長は今、緑の党党員で30代の女性ですが、それは比例代表選挙ゆえです。また、三井マリ子さんがノルウェーニュースを翻訳・紹介していますが、ノルウェーでは、オスロ、ベルゲン、スタヴァンゲルの3大都市の市長と副市長が全員女性になりました。これも比例代表選挙の結果に基づいて、連立を組んだ政党間の互選で決まるからです。
日本の選挙は、国も地方も小選挙区制中心です。小選挙区制ですから、第1位の勝者のみが当選するので、それ以外の候補に投じた票は死に票となり民意が反映しません。首長選では、対抗馬が出ず、無投票で決まる首長の多いこと。選挙があっても、与野党相乗り候補の多いこと。選挙に行かなくても勝者はわかっているから、投票率は低くなる。そんないい加減な選挙で当選した首長が絶大な政治権限を持つ、どうみてもまともな政治がなされるはずなどない、と僕は思います。
ですから、この選挙制度にメスを入れる必要があります。三井さんの著作『男を消せ! 』(毎日新聞社)や『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)は、必読書です。ネットでは『FEM-NEWS』です。毎回読んでいると、ニュースの背景にある選挙制度の違いがよくわかります。
ドレスデンの卓越した女性政策もそうですが、なぜあのように北欧の福祉政策が整っているかといえば、弱者を切り捨てない選挙制度と、議会中心の行政執行制度が存在しているからだ、と僕は思います。
田口 房雄 (緑の党・会員)
■2014衆院選 比例制に変えるしかない
■地方議会選挙を終えて思う「日本の選挙って変だ」
■小選挙区制は女性の声を捨て去る
■比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
■比例制選挙がいい