2016年 05月 04日
表現の自由と男女平等
Global Media Monitoring Project (GMMP)代表は、「このままでは、報道の世界が男女平等となるには75年かかる」と批判した。GMMPは、世界中の報道における男女平等の調査して公表している団体。
5月3日は世界報道の自由の日。ヘルシンキで行われた国際会議のテーマのひとつ「報道の自由と男女平等」で話されたことだ。
世界人権宣言19条は、「すべての人は、意見及び表現の自由を享有する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」
ふと思いだす。亡くなった私の母や叔母たちには、父や叔父たちと同じように意見を言ったり表現したりする自由があったか?
母たちは、自分の考えや意見は持っていた。が、彼女たちは、それを外に向かって表現はしなかった。父や叔父たちと意見が違っている場合、とくに顕著だった。大正、昭和に戻らなくても、今でも男性中心の通念や慣行によって、女性たちの発言は干渉を受けることが多い。女性はそれを甘受する。女性は、表現の自由を享受しているとはいえないのだ。
メディアは社会を反映するだけでなく、社会をつくる。報道する側や報道される対象に女性が増えないならば、その偏った傾向は是正されないどころか、温存され、助長される。実際、GMMPは、報道する側に女性が多いと、報道番組でとりあげられる人やコメントする側にも女性が増えることを証明している。
表現の自由度について、日本の新聞はランクが下がったと憂いているが、表現の自由と男女平等についてはどうだろうか。取り扱った記事は見ても聞いてもいない。
この国際会議で、スウェーデンのウメオに本社のある新聞社Västerbotten-Kurirenは、報道における男女平等を達成したと発表された。「男女平等を達成した人たちは、なんで他の新聞社ができないのか理解できない」そうだ。日本の報道機関は、同社に取材に行ったらどうか。
GMMPによると、日本の報道における女性と男性の割合は、「登場する人 女21%:男79%」「報道記者 女28%:男72%」
■Seminar:Media Coverage must Include More Women
■Who Makes the News?_Reports_2015
■Swedish Town of Umeå Enjoys Gender Balance in Its Print, TV and Radio Outlets