2016年 05月 03日
オバマ大統領スピーチとタブマン
ネットで視聴して楽しんだ。ひとつだけ紹介すると、
「今日のネタが上手くいけば、来年、ゴールドマン・サックスで使います。タブマンの紙幣をぼくに稼がせてほしい」(If this material goes well, I’ll use it at Goldman Sachs next year. Earn me some serious Tubman’s.)
ゴールドマン・サックスは、ヒラリー・クリントンへの痛烈な皮肉だ。サンダースが民主党大統領選の討論で、「クリントンは、大手投資銀行ゴールドマン・サックスから講演料60万ドル(約6500万円)を受け取った」と非難したことで私も知った。いくらなんでも破格すぎると誰もが思っただろうが、オバマでなければジョークのネタにはできないだろう。会場は爆笑。
その次の言葉は、もっとオバマらしい。新しい20ドル札に顔が載ることに決まったタブマンを引き合いに出したのだ。タブマンはハリエット・タブマン。私も昨日知ったばかりだが、1820年生まれの奴隷解放運動家だ。
少女のころ、頭が割れるほど殴られて、以来頭痛に苦しんだという。奴隷の身から逃げ出すことに成功した彼女は、地下鉄組織と呼ばれる奴隷を解放させる秘密結社のリーダーになって、南部に戻っては11年間に300人以上の奴隷を南部から北部やカナダに逃がした。懸賞金のかけられる「おたずねもの」だった。
南北戦争中は、看護師や北軍のスパイとして働いた。その後、アメリカ女性の参政権運動に尽力。晩年はニューヨークに住み、身寄りのない黒人のめんどうを見たという。なんという人生だろう。
オバマ大統領がタブマンをさらりと出したとき、大きな拍手が巻き起こったのもうなずける。
20ドル紙幣の顔を、何百人もの奴隷を所有していたアンドリュー・ジャクソン大統領から、奴隷解放運動家タブマンに変える運動をした、アメリカの女性団体の力にも、驚嘆する。
■Harriet Tubman
■Women on 20s
■If you have no idea who Harriet Tubman is, you’re not alone
【写真はハリエット・タブマン Artist: H. Seymour Squyer, 1848 - 18 Dec 1905 - National Portrait Gallery】