2015年 12月 07日
フランス地方選で極右台頭
「フランスの極右政党、国民戦線、地方選で勝利」
こんな見出しで、フランスの地方選挙の結果が流れてきた。パリのテロ事件の後、初めての選挙だった。「失業率の高さなど経済危機と、難民急増への不安」が、極右政党(FN)の票を伸ばしたという。13地域圏のうち6つでトップとなる見込みらしい。
メディアは、国民戦線の党首と副党首の写真でいっぱいだ。2人とも女性だ。
党首は、マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)で、47歳。副党首は、そのめいのマリオン・マレシャル=ルペン(Marion Marechal-Le Pen)で、弱冠25歳。党の創設者ジャン=マリー・ルペン(Jean-Marie Le Pen)の娘が党首であり、孫が副党首だ。
マリーヌ・ルペンは、EU議会議員でありながら、地域圏議員を兼務。今回、地域圏議員の再選めざした。伝統的に左派が優勢だった労働者階級の多い北部地域から立候補し、第1回投票で40%以上の票を獲得した。
マリオン・マレシャル=ルペンは、2012年の国会議員選でデビュー。フランス史上最も若くして国会議員に当選した。今回、立候補した南東部の豊かな人々の住む地域圏の第1回投票で得票率42%をかっさらい、「古い政治は死んだ」と勝利宣言した。
党首のマリーヌよりも副党首のマリオンはハードコアの極右的思想の持ち主のようだ。たとえば、マリーヌは妊娠中絶も同性愛も容認しているが、マリオンは妊娠中絶にも同性愛にも反対を表明し、「伝統的家庭」を好むときっぱり。山谷えり子など日本会議系の日本の国会議員と似ている。
BBCの、マリオン・マレシャル=ルペンについての論評はおもしろい。
肩から流れる長い金髪に魅力的風貌、ポケットに手を入れて話すしぐさ、などメディア受けするための訓練を受けているのは明らかで、若い男性のメディア・アドバイザーたちがいるだろう、と専門家は指摘する。国民戦線は、これまでマッチョなイメージが強かったが、女性党首の下、穏健路線にシフトしてきた。もう一人、若くて新鮮な女性指導者の台頭は、党勢拡大に威力を発揮するだろうーーというのだ。
なるほど。マリオン・マレシャル=ルペンの”女らしさ”は、強硬思想のカムフラージュに効果抜群のようだ。
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