2015年 12月 06日
三井裁判「終わりよければすべてよし」
横手市は、三井マリ子さんが2012年、衆院選に出たとき選挙事務所があったところです。個人的には、マリ子さんと私が小学校時代をともにすごした場所です。
近江直人弁護士さんと、森田祐子弁護士さん、原告の三井さんから講演がありました。三井さんの力強い話しぶりに私は安心しました。お話しを聞きながら、三井さんは、これからも社会に貢献する方だと確信しました。
法律や裁判の話ですのでやや固い雰囲気がただよっていましたが、その場をパッと変えてくれたのは、三井さんのパートナーの大熊一夫さんでした。
「世界でただ一人の歌うジャーナリスト」と笑って自己紹介をしましたが、オペラアリアを2曲、とても張りのあるバリトンで歌って下さいました。モーツアルト『フィガロの結婚』より「もう飛ぶまいぞ この蝶々」のときは、観客を誘うように表現力豊かにイタリア語で歌いあげました。じっと見つめられた私は、びっくりしたり、うれしくなったり、とても楽しいひとときでした。
そのミニ・コンサートの締めは、秋田出身の成田為三が作曲した「浜辺の歌」でした。歌い終えて、懇親会に移りました。
懇親会では、皆さんがたの気持ちが、リラックス・タイムに変わったようでした。元鷹巣町長の岩川徹さんが、和解調書へのコメントの後、乾杯の音頭をとって下さり、テーブルを囲んで歓談が続きました。
和やかな雰囲気の中、サプライズが待っていたのです。それは、弁護士の近江さんのウクレレ演奏でした。心地よいウクレレの音色は、聴いているだけで、何かスーッと心が軽くなり、うっとりした気持ちになりました。
次のサプライズは、秋田からやってきた工藤綾子さんの日本舞踊でした。秋田県民歌に合わせた踊りで、手さばき、足さばきが見事でした。「着物を持参すべきだったわね」と工藤さんは後でこぼしていました。
その後、きょうされんの澤田修明さんより、秋田の障がい者運動についてスピーチがありました。短かったのですが、初めて聞く貴重な内容でした。
最後に、思わず目を閉じて聴いてしまいたいほど、美しいピアノの音色に合わせて、全員で、再び、成田為三の「浜辺の歌」を合唱しました。歌には、思い出を呼び起こす力がある、と言われています。子どもの頃の日々が、一瞬にして甦ったようで、懐かしさもひとしおでした。
時間が経つのも忘れるほど盛会でしたので、ほんとに嬉しく、楽しかったです。弁護士の先生方、三井マリ子さんを最後までご支援して下さった皆様、そして、マリ子ちゃん(私にはやはりマリ子ちゃんです)、本当にお疲れ様でした。
苦しいこともありましたが、「終わりよければすべてよし」ですね。
亀田 純子(さみどりの会*)
(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴した。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。「産むならば 世界を産めよ ものの芽の 燃え立つ森の さみどりのなか」という阿木津英の歌がある。女性は子どもだけでなく、世界を産み出すのだという意味だ。三井さんは、選挙演説に引用しては「私は新しい秋田を産み出したいのです」と結んでいた。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判情報が掲載されている。
【写真:岡橋時子撮影】