2015年 02月 19日
夫婦別姓、最高裁大法廷へ
「大法廷で審理することになった。うれしくって、うれしくって」
塚本さんは、「結婚しても、元の姓でいられるようにしたい」と、裁判に訴えていた。
「夫婦別姓を認めていない民法の規定は、個人の尊重を定めた憲法13条や、両性の平等を定めた24条、女性に対する差別法制度の改廃義務を定めた女性差別撤廃条約などに違反だ」と、2011年2月、国を相手に損害賠償を求めたのだ。
2014年3月、東京高裁は、改姓による不利益など一部は認めたものの、塚本さんら原告側の請求を棄却した。東京地裁に続いての敗訴だった。それにもめげず、塚本さんたちは最高裁に上告していた。
今日2月18日、塚本さんたちが訴えていた裁判が、大法廷で審理されることになったと発表された。大法廷とは、15人の裁判官全員による裁判。最高裁が、民法の規定が違憲かどうかの憲法判断を示す。
日本の男女は結婚するとき夫か妻のどちらかの姓を選ばなければならない。民法の定めがあるためだ。実際は、女性の方が男性の姓に変える。
しかし、結婚してそれまでの姓を新しい姓に変えた場合、仕事に著しい不利益を被ることが多い。塚本さんは、「名字は、わたしの人格そのもの。私は塚本協子として生き、塚本協子として死にたい」と高らかに主張してきた。
男女平等の世界的潮流もあって、1996年、法制審議会(法相の諮問機関)は、結婚する際に夫婦が別姓を選べる制度を提言する答申をした。さらに1996年、2010年の2回、民法改正法案が用意された。が、無念にも国会上程にはいたらなかった。
なぜか?
「クタバレ 夫婦別姓」、「家族の絆が失われる」「夫婦別姓が法制化されないのは、選良としての政治家の判断だ」などと猛反対する人たちが、国会にいるからだ。
日本最大の右翼組織「日本会議」は、「選択的夫婦別姓制度を含む民法改正を阻止する500万人署名運動」などという大キャンペーンを続けてきた。安倍首相をとりまく稲田朋美、山谷えり子、高市早苗、有村治子など「日本会議」に属する女性議員たちは、その急先鋒といえる。こうしたバックラッシュ政治家の圧力によって、法制審議会の答申はねじふせられた。
しかし、今回、最高裁が動いた。最高裁が大法廷を開くときは、法律が憲法に抵触しているという判断をする場合が多いらしい。とすると・・・。
最高裁の結論はまだだが、、最高裁がこの事件をきわめて重要であると判断したことは確かだ。女性にだけ再婚禁止期間を決めている民法規定も、憲法判断にふされるようだ。
ひとまずよかった、よかった! 今晩は、ぐっすり眠れる。
■夫婦別姓訴訟、最高裁へ
■選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について
■別姓訴訟を支える会
■日弁連「選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案の今国会上程を求める会長声明」(2002年)
■別姓訴訟と「流れに逆らう女」
■夫婦別姓訴訟と「館長雇止め・バックラッシュ裁判」
■性差別撤廃へ キャンペーンは続く
■最高裁、婚外子差別を違憲と断じる
■婚外子差別、違憲へ
■男女平等を嫌う反動勢力の実像~日本にはびこるバックラッシュ現象~
【写真上:新聞紙上で裁判の意義を語る塚本協子さん、写真下:民法改正を訴える塚本さん(左)と樋口のり子仙台市議(右)】