2015年 02月 11日
「オランウータンと言うのは人種差別ではない」
キィェンジェとは、セシル・キィェンジェ(Cecile Kyenge)。イタリア初の黒人女性大臣だった。その時、彼女をこう侮辱したのは、右翼の政党「北部同盟」のロベルト・カルデロリだ。
つい先日、このことが上院議会にかけられて、「彼の言ったことばは、人種差別ではない」という結論が出た、という。
彼女の所属する民主党でさえも、それに賛成したというから、残念きわまりない。人種差別的だと抗議した政党は「五つ星運動(M5S)」だけだった。残酷な話だ。
セシル・キィェンジェは眼科医。コンゴ生まれで、イタリア留学後、イタリア人と結婚した。アフリカとイタリアの交流と連帯に力をつくしてきた彼女を、エンリコ・レッタ前首相は、インテグレーション大臣に任命した。
大臣に就任してからというもの、彼女は、極右団体や極右政党から頻繁に攻撃にさらされ、「コンゴに帰れ」などという横断幕を掲げられたり、顔をオランウータンの頭にすげ変えられた写真がフェイスブックで流されたりした。現在、彼女はこうした暴力的言動を民事裁判に訴えているらしい。
このたびの上院の結論に対して、セシル・キィェンジェは、「国の機構に選ばれた人間が、どんな人をも侮辱していいとなると、弱い立場の人を誰が守るのでしょう。危険な前例をつくりました」と語った。
なんと毅然としたファイトバック・・・・。
■Kyenge: “Calderoli assolto per avermi detto orango, triste il Pd che lo difende”
■イタリア黒人大臣、差別にさらされる
■猿に変えられた黒人女性大臣の顔――イタリア