2014年 06月 27日
パパ・クオータが減る
現在、ノルウェーは、子どもを出産したら、100%有給で46週間(または80%で56週間)の育児休業をとることができる。これとは別に12歳以下の子どもが病気になったら、100%有給で病気休暇をとれる。
46週間の育児休業のうち、14週間は父親だけしかとれない。パパは100%給料をもらって子育てにまい進できるのだ。つまり、パパにだけ割り当てられているため「パパ・クオータ」と呼ばれている。クオータは、英語quotaのことで、割り当てと言う意味だ(ノルウェー語はfedrekvote)。
ところが、保守政権に交替したとたん、この寛大な休業政策にメスがはいることになった。現男女平等大臣は、進歩党のソルベーグ・ホルネ(45歳)だ。彼女は、就任早々「私はクオータ制に反対です」と公言した。
最近、「14週間のパパ・クオータを10週間にします。父親がとれない場合、母親がかわってとれるようにします」と発表した。
「それぞれの家庭の選択にまかせたい」と。パッと目には柔軟になるようだが、働く女性たちには異議が多い。
「パパ・クオータ」は、1993年、世界にさきがけて、ノルウェーが法制化した。最初は4週間だった。
当時の男女平等大臣グレーテ・ベルゲは、これを「男性への愛の鞭です」と言った。男性が育児休業をとって家事育児の主たる担い手になることによって、男性が子育ての大切さに理解を示すようになる。これこそ究極の愛だと。
ノルウェーは、男女平等社会をめざし、あらゆる職場への女性の進出を、進めてきた。同時に、家事育児への男性参加を、パパ・クオータによって促してきた。成果が少しずつあがった。そして、現在、ノルウェーの男性の家事時間は世界で最も長く、女性が世界で最も働きやすい社会となった。
現在、平等・反差別オンブッド事務所で働く元男女平等大臣のグレーテ・ベルゲ(写真下)は、この政策変更をただちに厳しく批判している。
「パパ・クオータが4週間減る、というだけの問題ではないのです。育児休業の根底が崩れようとしているのです。20年間、苦闘しつつ作り上げてきた政策であり、男女平等への道すじをつくる最強のツールが、パパ・クオータなのです。この国の精神がゆらごうとしています。男女平等へのバックラッシュといえます。とても残念です」

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