2014年 02月 01日
男女平等大臣、クオータ制反対を公言
日本の政治家が言ったならニュースにはならない。しかし、ノルウェーの女性の大臣が言ったとなると別だ。
しかも、子ども・平等・ソーシャルインクル―ジョン省の大臣。この省は、男女平等推進をつかさどる、いわば、男女平等省だ。
ノルウェーは、クオータ制発祥の国だ。女性の政財界への進出を大胆に進めるクオータ制によって世界に名をとどろかせている。その国に、いったい何が起こったのか?
昨秋、ノルウェーは、国政選挙後、保守党と進歩党の連立政権を誕生させた。メディアによると“生粋の保守政権”である。両党とも党首は女性で、大臣の半数は女性だ。
しかし、かねてから両党はクオータ制に反対してきた。とくに進歩党は、ことあるごとに「クオータ反対」と公言してきた。
その進歩党から、子ども・平等・ソーシャルインクルージョン大臣に就任したのは、女性のソルベーグ・ホルネ(45歳)。
ノルウェー紙VGによると、ホルネ大臣のはなしはこうだ。
ホルネ大臣の政治歴は、地方議会ではじまった。地方選挙で、進歩党候補者リスト上位2人の1人に登載された。上位2人を男性が占めてはならなかったため、彼女が登載されたのだ。
ノルウェーは、国会も地方も比例代表制選挙をとる。比例選挙なので、ほぼ全政党が、リスト上位の何人かずつ当選する。彼女も当選した。その結果、男性政治家を追い出すことになった。
議員となった彼女は、能力ではなく女性だからこの議席にいるのか、といういやな気分が抜けなかった。こうした感情を他の女性に味あわせたくない、などと語っている。
大臣ポストにある彼女の発言は、社会に大きな影響力を与える。その彼女自身、クオータ制がなければキャリアの第一歩を踏み出せなかった。それなのに、生みの親であるクオータ制に反対をとなえたのだ。
皮肉このうえない。
大臣の発言は、彼女の個人的問題にとどまらない。ノルウェーの多くの女性たち、いや、世界に波紋が広がるだろう。
さあ、これからと、クオータ制導入運動を広げようとしている日本のような国もある。いやな気分だ。
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